スイス各地の日本人の方の声(押川恵美さん/3月にアジア旅行から帰国)

3月16日のバンコク発スイス航空は満席、マスクをしているCAはいない。乗客のマスクは数パーセント。搭乗の際に体温測定があっただけでごく普通に到着してごく普通に外にでた。空港はガラガラ、8時10分チューリッヒからシュヴィーツに向かう電車の車両は私たちだけだった。イタリア、スペインの爆発的感染。
シュヴィーツは3月16日からすべての学校は休み。17日から食品と医薬品の販売を除くすべての店舗は営業停止になった。あらかじめ娘から電話で聞いていたので驚かない。冷蔵庫がほぼからなので、近くの大きなコープに行く。

売り切れは、湾岸戦争の時もそうだったけれど、パンを焼くための全粒粉、塩、ドライイースト、粉末ミルク、卵。ここは日本人と勘どころが違う。トイレットペーパーは売り切れだけど、常に夫が買いだめしているのでたくさん家にある。
私はコメを2キロ、キャベツを1個、パプリカを一袋、スパゲティ1袋。これがいつもより多く買ったものだ。買い物は週に1回なのでこれができるかぎり不自由はない。不必要に買いだめをして、ほかの人の不安をあおらないようにと自分にいいきかせてもつい多めに買いたくなる。野菜の棚の一部が空になったのを初めて見たからだ。夫はラビオリの缶詰めを1個買った。連邦大臣は食料も日用品も十分にあると通達したそうだ。

公の場に5人より多く集まるのは禁止された。チューリヒに下宿している息子は、ほかの友人たちと、老人(私たち親)にウイルスを移さないために帰ってこないのだそうだ。風邪が流行っているし検査しなければ何のウイルスかわからない。

空気は清浄だし、水は水道水が飲めるし、停電はしないし、温かいお湯が出るし(水シャワーが結構あった)必要なものはすべて手に入る。とにかく移動が多かったのでうちにこもって掃除をしたり庭仕事をしたり、食べたいものを自分で作って食べていれば申し訳ないけれど今のところとても満足だ。

医療と食品販売関係の方々の尽力で、この快適さと安心は成り立っている。