日本人サーカスパフォーマー DIOさん

今年、バーゼルの目抜き通りFreiestrasseで、大きな人だかりが出来ているのを見かけた人も多いと思います。
週末の午後、その人だかりを作っているのは、日本人のサーカスパフォーマー親子、DIoさんと娘さんのラムちゃんです。
今回はその話題のお二人にお話をお伺いしました。
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SWN: まずは、お二人の自己紹介とスイスに来る事になった経緯を教えて頂けますか?

DIOさん:親子でサーカスパフォーマーしてますDioとRamuです。
加盟しているサーカス協会から頂いた仕事で昨年はアフリカをまわっていたのですが、それを終えた報告のためスイスに来たのがきっかけです。
その後、バーゼルで行われた若手サーカスパフォーマーの国際大会の実行委員のお仕事を頂いて参加したのですが、その時に縁あってスイス人妻との結婚が決まりそれからバーゼルに住んでます。

SWN: Dioさんがこの世界に入る事になったきっかけを教えて下さい。

DIOさん:もう20年位前の話になります。当時私が東京で友人のイベント会社を手伝っていた時、私が任されていたイベントでアメリカ人のパフォーマーを起用したのですが、彼は言葉も通じない異国の地であるにも関わらず堂々とした態度で広いステージの真ん中に立ち、その身体から次々繰り出される技でもって会場のお客さんを魅了していくんです。
その姿を目の当たりにした時に今までにない感動が身体を走りました。
その後、彼からいくつかの芸を学び気づいた時にはこの世界に飛び込んでました。
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SWN: 日本を含め、色々な国でパフォーマンスをされて来たと思いますが、バーゼルの人たちの反応はいかがですか?

DIOさん:過去にもサーカスツアーやミュージシャンのコンサートツアーに参加し何度かスイスには来ていたのですが、その時からバーゼルに限らずスイスの人たちはとっても日本人に似た気質を持ってるといった印象が私の中にはあります。もちろん見た目や言葉や文化は違います。
でも、いろんな国をまわってショーをしてきた中、拍手する前にまず隣の人の行動を見てから拍手するのって日本とスイスの人だけでした。
他国のパフォーマーにとってはやりづらさを感じてしまうところかもしれませんが、私たち親子にとってはこの奥床しい人柄がとっても懐かしく、居心地の良さを感じさせてくれるんです。

SWN: なるほど、日本人とスイス人が確かに似た気質を持っている印象というのは、私もよく分かります。少し距離を置く感じですね。
ところで、パフォーマンスに使う綺麗な衣装やお面なども、ご自身で製作されているのでしょうか?

DIOさん:私たちのイメージするものに合ったデザインのものって既製品ではなかなかみつからないのと、パフォーマンスでの特殊な動きに耐える強度を満たすためにどうしても加工が必要となることから自分で製作しています。それに、自分で作ったものって他には無い良さと愛着が湧くじゃないですか。これもパフォーマンスを作るときの欠かすことの出来ない楽しみの一つとなってます。

SWN: スイスにはKNIEをはじめとする、いくつかの有名サーカスがありますが、日本のサーカスパフォーマンスとのスタイルの違いなどはありますか?

DIOさん:私自身が日本のサーカスには出演していないので日本との比較は難しい
です。サーカス界は世界的にここ数年、新しいサーカスの波に押され古き良いものを維持継承してくことが困難となってきています そんな中、ヨーロッパのサーカスは頑張ってますね。
中でもスイス、ドイツ、フランスは古き良いものを維持していく事への理解が深くその中核を担う存在の国となってます
スタイルはそれぞれのサーカスで違いますが、新しいものと古いもの激しいものと静かなものなどギャップのあるものがうまく調和のとれたスタイルがヨーロッパの全体的なスタイルですね。
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SWN: 私もパフォーマンスを実際に見せて頂き、お二人とも息がぴったり合っていて、積み上げた椅子の上で倒立するラムちゃんのアクロバティックなパフォーマンスも、なぜか安心して見ていられました。日頃のトレーニングは欠かせないと思いますが、どのような点に注意を払って指導をされていますか?

DIOさん:自分が経験で得てきたもの全てをラムに伝えたいという思いはあるのですが、実際は親子で同じ道を歩いているように見えて、二世となるラムと私の通ってきた道は全く違った道で、指導と言うよりは一緒に学びながら歩いているといった感じです。
これに反抗期とか親子ゆえの特有の感情が入ると、なかなか指導とかって具合にはいかなくて、負けたくないといった意地の張り合いで練習を毎日続けているといった感じです。
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SWN: ラムちゃんの演技を安心して見られたと言ったのは、技術的にはもちろんそうですが、精神的にも非常に鍛えられている印象を受けたからです。
メンタルトレーニングもやはり重要でしょうね?

DIOさん:メンタルトレーニングはとくにはしてません。これは私ではなく、ラムのおかれた環境がラムを育ててくれているのだと思います。
私がラムに言ってる事は「自己暗示とかではなく、本当に無となったときに自身を支えてくれるのは練習の積み重ねによって身体が覚えている自信」って事ぐらいかな。後はラムに聞いてみて下さい

ラムちゃん:ショーの時に、気持ちで負けないようにしてるの。
気持ちで負けると、ショー中に次に何するのかわすれちゃったり、音楽より早く終わっちゃったりするから
皆に一番良いショー観てもらうんだって思うようにしてる。

SWN: 演技を終え、お客さんにマイクでお礼を言うラムちゃんは、本当に良い笑顔を見せてくれますね。

ラムちゃん:だって拍手してくれて嬉しいんだもん。
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SWN: 最後に、DIOさんとラムちゃんの今後の活動について教えて頂けますか?

DIOさん:私はラムがサーカスのスターを目指して頑張ると言ってるのでそのスタートラインまでラムを導いてあげたいと思ってます。その道のりでサーカスに出演したり滞在先で大道芸を楽しんでといった感じになりそうです。ラムに関しては、これからいろんなサーカスやイベントに出演していく事になると思います。温かい目で応援してやってください。
それと告知になるのですが、海外で日本の良さをより多くの人に伝えていけたらと、和をテーマにアクロバット、太鼓、獅子舞、神楽を演じてます。ホームパーティーやイベントへの出演依頼大歓迎なので、興味がありましたらお問い合わせください。

SWN:  そうですね、ラムちゃんの今後の成長が楽しみです。サーカスのステージで輝くラムちゃんを今から楽しみにしています。今日はどうもありがとうございました。


お二人について、もっと詳しく知りたい方は、下記のオフィシャルウェブサイトをご覧ください。バーゼルでは、毎週土曜日の午後、Freiestrasse(スイスポストの横)でパフォーマンスをされています。

DIOさんのウェブサイト:http://wep-group.com/dio/index.html
ラムちゃんのウェブサイト:http://wep-group.com/ramu/index.html