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インタビュー 宮沢賢治 童話・朗読劇

第2回 宮沢賢治・朗読劇を終えて

 先日6月14日、チューリッヒで宮沢賢治の朗読劇が行われました。3人の女性が宮沢賢治の世界を体現する朗読劇とは何か?賢治の独特の世界観に誰もが引き込まれていきます。

今回朗読された作品は、「祭りの晩」「ツェねずみ」「よだかの星」の3作です。その魅力について、主催者の押川恵美さんにお話をうかがいました。
朗読者:Ginsig恭子さん
photos by koyama

■公演お疲れ様でした。まずは公演2回目を終えられて、ご感想をお聞かせください。また、1回目と比べお客さんの反応はどうでしたか?

 演じる側としては、2回目のほうが余裕がでてきたので、観ていらっしゃる方の反応を演技中にじかに感じることができました。
終演後の反応は、賢治の作品の面白さに対するものと、わたしたちの演技に対する三人の個性がよく出ているなどというものと両方あるのですが、2回目のほうが演技を評価してくださるコメントが多かったかもしれません。
いずれにしても「これを機会に賢治の作品を読み始めました」という方が何人かいらして、これは本望ですね、ほんとうに嬉しいです。

■宮沢賢治の世界を表現するために、この朗読劇と言うスタイルにした理由は何ですか?例えば演劇と言う方法もあると思うのですが。

 「賢治の世界を伝えたい」というのがそもそもの動機ですから、原作に手を加えるわけにはいかないですし、それに、賢治の童話の世界は戯曲には収まりきらないほどスケールが大きいのです。どうしようかと考えていたとき、女優の白石加代子さんが「百物語」というシリーズで、恐怖をテーマに(戯曲でない)小説や童話を朗読して演じていらっしゃるのを知りました。サワリをちょっと観ただけなんですけど、すごく面白かったのです。それで、この形でならできる!と。
 もうひとつは実際的な理由で、出演者の由理さんがベルン、恭子さんがチューリヒ、そしてわたしがシュヴィーツと離れているので、普段は一人でも稽古できて、月に何回か会って合同練習できる理想的な形でもあります。

「ツェねずみ」の一場面
朗読者:押川恵美さん
photos by koyama

■童話を活字として読まずに聞くと言うのは、非常に新鮮であり、今まで経験のない感覚だったのですが、どんどん宮沢賢治の世界に引き込まれていきました。人によって解釈は異なると思いますが、賢治の魅力とは何でしょうか?

 ありがとうございます。信じられないくらいの自由な広い発想と自分の思想を生きた事でしょうか。鳥や動物はもちろん、ネズミ捕りや柱や、石まで主役になりますからね。この自由さが小説や戯曲ではなくて、彼に童話を選ばせたのかもしれません。あと、いやなものがぜんぜんでてこない。どの登場人物(動物、物)も賢治に愛されていると感じます。

■特に思い入れの強い、宮沢賢治の作品はありますか?

 たくさんあります。ほんとうにいろんなバリーエーションがあるんで。
ただ、『銀河鉄道の夜』は、最終的にこれを上演して賢治作品の上演の一区切りにしたいと思っています。そのあとはまたあとで考えます。
 
■宮沢賢治の世界を表現するために、次回も同じスタイルで公演される予定ですか?今後の予定などもお聞かせください。

 いいえ。次回は、ダンスパフォーマンスや音楽を加えていきたいです。スイス人の観客を想定した場合、朗読だけでは、字幕をつけるにしても、読むのに忙しくなりすぎると思います。そこが今考えている問題なんですけど。
これからどんどん動きを増やして、演劇性が強くなっていくはずです。ほかのジャンルのかたとのコラボレーションもしたいですし。
クラッシクや絵画や、ダンスや。それこそ賢治のように自由に。最終的には・・どうなるんでしょうかね。わたしも楽しみです。

「よだかの星」の一場面
朗読者:Raass 由理さん
photos by koyama

■朗読劇と聞いて、どんなものか半信半疑の方もいらっしゃると思いますが、まだご覧になっていない方にメッセージなどありましたらお願いします。

 そうでしょうね、わたしも半信半疑でおそるおそるやってみました。何しろ観たことがないんですから。朗読劇は、まだ定義されていないジャンルです。戯曲を手に何人かの役者が演じる場合もあるでしょうし、白石加代子さんのようにたった一人で散文を読んで、演じ分ける場合もあります。わたしたちのやっているのは、童話ですから、10人ぐらいの違う登場人物(動物、物)がでてきます。それを一人で演じ分けながらしかも即座に「・・といいました。」なんて、地の文にもどらなくちゃならない。そこがむしょうに楽しいです。
 とてもシンプルな形なので、本当の劇場は観に来てくださったかたのイメージの中にできます。どうか「あなたの賢治」を観にいらしてください。

■どうもありがとうございました。多くの人にこの世界を体験して頂きたいですね。これからも公演活動を頑張ってください。

 まだご覧になっていない方は、この宮沢賢治の世界をぜひ体験して頂きたいと思います。
今後の公演の予定についても、このページでお知らせしていきます。