スイスの学校で握手を拒否したイスラム教の生徒

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先日バーゼル近郊の学校で問題となった、イラスム今日の男子生徒が、宗教的な理由で女性教師との握手を拒否したことで、学校側は生徒に握手を強制できるという見解で発表した。
ひどい場合は保護者に最高で5000フランの罰金が科せられる。ちなみにバーゼルでは授業中の生徒の居眠りも保護者に1000フランの罰金を科すとしている。
学校では、イスラム教という理由で特別扱いしないということだが、とにかく、イスラム系の生徒はどこの学校にもいて地域によればクラスの半分がイラスム系ということもある。

この他にも、度々問題になるのは、スイスの学校のカリキュラムにある、宗教(キリスト教)の授業に出るのかというのが最初のステップで、これは他宗教の生徒は辞退できるが、担任は辞退した生徒に別授業を準備しなければならない。ただ、これはイスラム教徒でなくても認められているので、さほど大きな問題にはなっていない。
問題になったのは、イスラム女性がかぶるヒジャブやブルカ(顔まで覆う黒装束)の使用。子供の場合はブルカを着用していることは少ないが、公共の場での使用が議論になったことがある。
他には、スクールキャンプでの食事で、豚肉を食べれないイスラム教徒の子供達に配慮しなければならないとか、スイスの学校側も様々な面で苦慮しているのは事実。
そこに来てこの男子生徒の握手問題。

難民の大量受け入れや、相次ぐテロの影響で、スイスでも国民は保守的になりつつある。仕方がないかもしれないが、この国に暮らすなら、ここのルールに従うのは当然で、社会に適応できなければ自国に帰るしかない。
偶然この国に生まれて育った彼らには罪はないが、移住してきた親の世代はいまだにスイス社会から受け入れられないこともあり、その影響が子供にまで出ているのは明白だ。
特に男女の地位の差は、自分でも感じる時があり、イスラム系の女性はほとんど男性に対して目を合わせたり、挨拶すらしない。最初は愛想の悪い人なんだと思ったが、宗教的な理由があるようだ。もちろん、スイスの社会に溶け込んだ非常にオープンな人もいるが、それはスイス人側にも言えることで、相手が外国人の場合、わざと挨拶をしないこともある。

自身も外国人として、この国に住んで10年以上になるが、こうした宗教の問題や習慣の問題はほとんどないし、あからさまな差別を受けたことも正直あまりない。
ただし、訝しげな目で見られたり、自分に対して嫌悪を抱いているのを感じる瞬間はたまにある。スイス人にはない外国人としてのアンテナはやはり敏感になっているのかもしれない。
こうして、ほとんど問題のない日本人ですら感じるのだから、戦争や貧困から逃れてスイスにやってきた人たちが受ける差別の重さは計り知れない。

永世中立で平和なスイスだが、地方に行けば行くほど、よそ者への態度は厳しいのが現実。移民との共存はスイスだけではなく世界にとっても永遠の課題かもしれない。

(参考記事:20min.ch)
http://www.20min.ch/schweiz/news/story/Muslime-muessen-allen-Lehrern-die-Hand-geben-17711788