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スイス人の結婚観

スイス人の結婚観、と言っても男女で当然差があるが、特に女性の結婚に対する意識は、日本の女性のそれとはだいぶ違うと感じる。
背景には、女性の社会進出が日本よりも多く、いい意味で自立した女性が多いのが特徴だが、やはり30代半ばから後半になると、そうした自由を謳歌してきたスイス人女性も周りを見渡して、ふと立ち止まるようだ。特に女性は、自分の子供を持つという可能性が年齢的にも厳しくなってくるため、心境の変化は当然かもしれない。

育った環境
しかし、実際に話を聞いてみると、結婚にこだわらない、もしくは敢えて拒む女性も多く、ただ単に結婚の機会を逃したわけではなく、育った環境も影響しているのが感じられる。一つは、両親が離婚していて、結婚に対するイメージが良くないこと。結婚してもうまくいかないと思い込んでいるのか、無意識にそうなってしまうのか、兄弟がすでに離婚している場合もある。
自身の周辺でも、実に相当数の夫婦が離婚している。

旅行好き
スイスの会社は休暇が4、5週間ある。そのため、夏や冬にどこに休暇に行くか、どのように過ごすかは、彼らのステータスといっても過言ではない。年初には、1年間の休暇のスケジュールを同僚と話し合い、大まかに時期を決め上司に報告する。1年先の宿を予約しているのは珍しくない。子供がいる家庭は、学校の休みに合わせ、独身の人は学校の休暇時期を外して、休暇先でもうるさい子供がいないくて、静かに過ごせるのでほとんどの場合は、うまく調整できる。
そうした環境から、自由に休暇を取ることに飽き足らず、会社を辞めて1年世界中を旅をするという人も結構いる。(その中には燃え尽き症候群もいる)または、30代でも語学留学をしにカリフォルニアへ半年留学など、日本でそんなことをしたら、帰国後の就職は相当難しいだろうと思われるケースも。
そうした、自由な旅行も、結婚をしたらできないというのも理由の一つにあげられる。

子供ができたら結婚する
長年同棲しているが結婚はせず、銀行口座も全て別。ただし、子供を授かったら結婚しましょう、というカップルも多い。中には子供ができても、未婚のままの家族という人もいるが、子供のためには、結婚という手続きをとったほうがいいと考えるカップルが多い。子供ができなければ、一生内縁の妻と夫ということで、お互いが理解していればそれでもいいという。確かに他人がとやかく言うことではない。

同性婚
スイスでは、同性婚は認められていない。しかし、夫婦同等の権利を持つことができるパートナーシップの手続きを役所ですることができ、その内容は世間の夫婦とほとんど同じだ。例えば遺産相続も夫婦と同じ権利になり、パートナーが危篤の場合も、最後の面会に身内として入れるなど、法的には婚姻と考えてもいい内容。ただし、子供を養子に迎えることはできない。
どちらかの連れ子がいる状態で同居するという場合は別だが、同性のカップルが養子を受け入れることはできない。実はつい先日、筆者の友人カップルがこのパートナーシップの法的手続きをとって、晴れて「ふうふ」となった。

学校に行き直す
会社を辞めて、まったく違う分野の大学や専門学校に通うケースも実に多い。しかも、1年などではなく、4、5年かけて学校に通う人もいて、その間の生活費や学費など、ある程度準備しなければならない。しかも、一緒に学ぶ学生たちは、自分の半分くらいの年齢だったりして、学位を取った後での就職が保証されているわけでもない。
それでも、自分のやりたいことを優先しその道に進む。当然結婚はお預けになる。

不妊治療
結婚をしないケースとは別に、知り合いに子供がどうしても欲しくて結婚した夫婦がいる。しかし、10年以上経つが子宝には恵まれず、不妊治療すべきか相当悩んだようだ。知っている人も多いと思うが、不妊治療にはお金もかかるし、精神的な負担も相当なものだ。夫婦のどちらかが妥協をして試してみるという軽いものではない。
これが原因で離婚する夫婦もいるが、特に辛いと言われるのが、友人知人、同僚などの結婚パーティーや誕生日会に招かれた時、招待客の中には、必ず妊婦か生まれたばかりの赤ん坊を抱いた幸せそうな母親がいて、それを見るのがこの上なく辛い、という。実際、友人夫婦の奥さんがあるパーティーで、そうした場面に接し、泣いているのを目撃したことがある。

結婚といっても、人それぞれで、自由であっていいと思うが、昔は気にも留めなかった「結婚」というものが、人によっては辛いもの、苦しいものであることを最近特に感じるようになった。
しかし、スイス人が自由を求めて、結婚したくないのかといえば、そうでもない。その証拠にTVでは、デートサイト(出会い系サイト)のCMが堂々と流れる。もちろん、遊び相手を探すような軽いものもあるが、真剣に交際を求めるサイトも多く、学歴や年収、職種によりカテゴライズもされている。

これには以前から感じていたが、会社帰りに飲みに行くこともなく、日本のようなコンパとか紹介をするという習慣がないため、交流ができるのは職場だけという人が多い。つまり出会いがないのだ。
逆にパートナーを見つけるのが得意な人は、とにかく積極的でいろんな場所に遊びに出かけている。そういう行動ができない場合、自信がない場合は、出会いは極端に少ないのが実情だ。
同世代であれば、既婚者は家族優先になるため、あまり遊んでくれない。

独身者によく見られることだが、家族を、特に両親を大事にする人が多い。もちろんとてもいいことだが、毎週末、実家に帰って両親と週末を過ごす人も多くて、それでは、さらに出会いはなくなる。
休暇も両親と一緒に1週間程出かけるケースもあり、はたまた兄弟姉妹の子供の面倒を買って出て、重宝がられていたりするが、自分の出会いがおろそかになっていることに気がつかないそうだ。

スイスも出生率は落ちている、少子高齢化は世界的に同じ課題だ。こうした恵まれた環境が、少子化にも繋がっているのは否定できないが、もっと自由に生きても許される時代でもある。
スイスでも結婚で悩む人が多いが、幸福度ランキングでは毎年上位のスイス。誰かに敷かれたレールではない、自分の選択した人生に満足している人が多いということに、スイス人の結婚観が相対的に含まれているのだろうと思えば、十分納得できる。