学校でのスマートフォン管理
若者のスマートフォンの依存症が問題視されてしばらく経ちますが、いくつかの国では対策を始めた学校もあるようです。脱デジタル依存ということで、学校内でのデジタル機の管理ルールを設けて、スマートフォンを完全に預けて、1日課外活動や遠足に行くなどの試みをスイスのTVでも紹介していました。
フィンランドでは、これまで配布していたタブレット端末をやめて、従来の紙の教科書に戻した結果、生徒の集中力が高まったといわれています。自分でペンを持って書くという動作が脳に刺激を与えるとか。
オーストラリアの学校でも、スマートフォンを預けるようにしてから、生徒同士の会話が増えたり、よりコミニケーションが増えたと感じているようです。
番組内では、スイスの生徒にもインタビューをしていましたが、もし、学校でスマートフォンが使えなくてもそれほど気にしないだろうという生徒が多く、気になって仕方なくなり、逆に集中力をなくすと答えた生徒は少数でした。
スイスの中学校でも、授業中はスマートフォンは預けるようにしている学校もあるようですが、休憩中にはまた手にすることができます。それでは、他の子とのコミニケーションの時間がどうしても減ります。スイスの学校では、丸1日デジタル機器に触れさせないような取り組みはしていないので、実際にどのような反応になるかは分かりません。
1日10時間以上も使用する子供もいる
スマートフォンの機能で、実際に何をどのくらい使用していたか見ることができる機能がありますが、ある生徒は、過去1週間で、1日10時間以上使用した日があると、スマートフォンの画面に出ていました。
ここまでくるともう中毒で、その内訳はやはりSNSやTikTokなどのアプリ。1つの動画を見ると、次から次へ流れてくるので、終わりどころがわからない動画アプリです。
そして、一度見た動画はアルゴリズムで認識されて、永遠に似たような種類の動画が流れてくるようになっています。そのアルゴリズムの影響は、若者にとって大きく作用し、ある生徒が悲しい気分の時に、悲しい動画を見たところ、次から次へと似たような動画が流れてきて、更に落ち込んでうつ状態になってしまうということも起きているようです。
いじめのツールにもなっている現状
一番大きな問題となっているのが、スマートフォンに付いているカメラです。他人をからかうような動画を撮り、仲間内で拡散し、いじめや脅しのツールになっています。これは拡散されれば、デジタルタトゥーとなり残ります。それが例え間違った情報だとしても、一度広まってしまうと収拾がつかないため、精神的なダメージも大きく取り返しがつかない事になります。
こうした動画は、犯罪の証拠としても残りますが、こうしたイジメ動画が原因で、自ら命を経ってしまう子供がいることは、受け入れ難いことです。
幼少期に慣れてしまった脳
物心が付いた頃、すでに身の回りにあったデジタル端末。その世代に生まれた子たちにとっては、ごく当たり前の環境です。
しかし、デジタル端末がなかった世代と比べると、紙で読んだ本とデジタル端末で読んだ本で、記憶の差があることがわかっています。
子供の頃、デジタル機器が無かった(学校や家で普及してなかった)世代では、どちらのツールで本を読んでも同じくらいの記憶力ですが、デジタルネイティブの子供達は、紙の本で読んだ方が記憶に残るそうです。
タブレットやスマホをスクロール、スワイプする感覚なので、記憶にも残りにくいということでしょうか?確かに、大人でも流し読みしたような記事は印象にあまり残りません。デジタルネイティブ世代とそうでない世代とでは、スマートフォンの情報に対して、脳の処理の仕方が違うという研究結果もあるようです。
デジタルデトックスでリセット
スマートフォンが及ぼす生活習慣の変化は、便利になった反面、疲れてしまうことも多いです。
友人や家族との連絡も大事ですが、週末だけでも、デジタル機器から離れて過ごすことで、脳をリセットさせることが必要です。しかし、電車のチケット購入やお店での支払いなど、全く使わないというわけにもいかないので、そういう人は、一度自分のスマホで何をどれだけ使用しているのかをチェックすると良いそうです。
特にお子さんがいる家庭では、1日中タブレットやスマホを見ている子供達と一緒に、週末キャンプに行ったり、ハイキングにでも行けば、デジタル機器から解放されます。スマホがなければないで、なんとかなるものですし、他に遊ぶ方法は、自然の中ではいくらでもありそうです。
子供は特にですが、自然に触れるという体験を幼少期にしておくべきというのが、いろんな記事を読んでいても必ず出てきます。暑いとか冷たい、硬いなど、実際に触れてみないとわからないものがあります。
意識をして、スマホ時間を減らす時間を定期的に作ると脳のリセットにも効果があるようです。
散歩やハイキング、お喋りが大好きなスイス人なら屋外活動は得意分野だと思いますので、週末スイス人と一緒にハイキングするだけでデジタルデトックスができそうです。