ファスナハト時期のスイス人


今年もファスナハトの時期がやってきて、子供達のコスチューム作りもいよいよ追い込みの時期。郊外の地域でもトラムやバスの通行を止めて、数時間だけ小学生と幼稚園の行進を行うのが恒例行事。毎年ファスナハトの時期は違うが、今年は最後のバーゼルが2月19日からとなっている。
そして、何と言っても昨年、このバーゼルのファスナハトがユネスコ世界無形文化遺産に登録されたことで話題性も高い。
それほど伝統的で盛大なお祭りだ。
周囲では、ファスナハトのピッコロの練習をする音がよく聞こえてきて、グループに参加している人も多い。
しかし、スイス人なら皆ファスナハトが好き、という訳ではないようだ。

以前から、この時期にスイス国外へ休暇に行ってしまう人がいるのは知っていたが、最近またファスナハトが好きではないスイス人に出会った。
その人は今回は仕事があるためバーゼルに残るが、いつもは国外へ「避難」するそうだ。スペインやギリシャに行くとか。 
確かにお祭りごとが好きではない人もいるかもしれない。特にバーゼルのファスナハトとなると、かなり盛大で、街中に住んでいればなかなかの騒音だ。

この祭りのどんちゃん騒ぎの中で、地元のTVでも放映されるシュニッツェルべンクというのがある。
これは、小さな舞台に立って、社会風刺をする言うなれば漫才のようなもの。かなり毒づいた批判をし聴衆の笑いを誘う。
しかも、地元の強い方言で行われるから、普通のスイスジャーマンがわかる外国人にとっても聞き取りが難しい。そして、笑いのツボも違うため、意味がわかっても笑えない。
そんな話をしていたら、前述のスイス人も「大して面白くないよ」というではないか。
ということは単なる笑いのセンスの違いによるものなのか、そうした批判めいた中傷が嫌いなのか分からないが、昔は面白い時期もあったけど、飽きたということらしい。
祭りに参加しているほど好きな人たちにとっては、楽しいかどうかではなく、参加することに意義があるという訳で、これがないと1年始まらないといった感じのようだ。

クリスマスマーケットも確かに、何年も住んでいると同じものばかりで飽きてくる。これは地元のスイス人も同じことを言っていた。
とにかく、たとえ世界無形遺産であっても、そういう周りに流されない、意志の強いスイス人気質が垣間見えた気がする。