Lachgas(笑気ガス)の取り締まり

バーゼル近郊で起きた自動車死亡事故で明るみになったこと

先週、バーゼル近郊でサッカーチームのメンバー(16歳から18歳)を乗せた高級車が事故を起こし車は大破。後部座席にいた18歳の若者が死亡するという事故が起きました。その際、同乗者が撮影した動画には、ドライバーが運転中にLachgas/笑気ガスを吸っているのが映っており、一時的に意識が飛んでいた状態だったと警察は見ているようです。事故後の車の写真を見ましたが、相当なスピードで衝突したのが伺えました。

脱法ドラッグ/亜酸化窒素

このLachgasの販売は禁止されていますが、少年たちは、バーゼル市内のシーシャバー(水タバコのバー)で違法に手に入れたようです。今回の死亡事故を受けて、警察も週末にバーでの違法販売を取り締まる事態となっているようですが、このガスが気軽な遊び感覚で流行っていることに、同じ年頃の子どもを持つ親たちはショックを受けているようです。
この笑気ガスとは、亜酸化窒素のことで、麻酔効果もあることから医療現場では使用が認められているそうです。吸うと酔った感覚になることから、若者が遊びで使用することが増えた時期もあるようです。

週末のクラブなどでは、これ以外にも様々な脱法ドラッグが蔓延しており、自分の知らない間に、飲み物に錠剤のドラッグを入れられて、中毒になり病院に搬送されているケースは常に起きています。ひどい場合は、命を落とす場合も。そのため、バーやクラブでは、お手洗いなどで席を外す際は、自身の飲み物は飲み干すか、戻ってきたら飲まないようにするのが賢明です。

大麻の使用よりも怖い

大麻由来のクリームや紅茶など、スイスでは通常のスーパーで販売されていて、乾燥大麻の使用も取り締まりはゆるいのが現状です。吸っているだけでは、日本のように警察に検挙されることもありません。ただし、販売目的を疑われるような量を保持している場合や、栽培などは厳しく取り締まりされています。医療用の大麻の栽培と販売は免許が必要です。

こうしてみると、ドラッグは意外と身近にあり、中学生でも手に入れることができる環境で、それに飽き足らず脱法ドラッグに手を出してしまうのは珍しいことではありません。しかし、今回のように脱法ドラッグを使用した状態で車の運転をし死亡事故を起こすという行為は、関係ない一般人も事故に巻き込まれる可能性があります。

親から贈られた高級車

ティーンエイジャーが運転していた車は、日本円で2千万円近くする親から贈られたものだったといわれています。そんな高級車を仲間に見せたい気持ちと、それに乗ってみたい若い子達の気持ちはわかります。しかし、気持ちが大きくなって、まだ免許も取ったばかりの未熟なドライバーがコントロールできるような車ではなかったのかもしれません。
軽い気持ちで、自慢の高級車にちょっと乗っていかないかと誘われれば、ティーンエイジャーなら誰でも乗ってしまうかもしれません。そして、運悪く今回のように事故にあう可能性もあります。運転中に脱法ドラッグを使用するのを止めなかった仲間にも問題はあるでしょうが、時すでに遅し。若い仲間の命が代償となってしまいました。
同年代の子を持つ親は、今回の事故を受けて一様にショックを受けています。