コロナ禍の職業体験プログラム

スイスの職業体験プログラム

 スイスでは小学校高学年くらいから、職業体験として親や知り合いの職場を体験するプログラムがあります。どんな仕事をしているのかを実際に会社に行って見ることで、将来の職業のヒントにもなります。スイスが誇る、職業研修システムの第1歩です。
 中学生になると、進学するか仕事の研修先を探すかの選択をある程度考えなければいけないのですが、どちらにしてもこの職業体験プログラムは皆参加ということで、先生の指導のもと、自分で履歴書を作成し、興味のある職種の会社に電話でアポイントメントを取り申し込むという、なかなか実践的な試みをします。
 ちょうどイースター明けのこの時期に行う学校が多いようですが、今年は思った以上に職場体験のアポイントメントが取れないようです。

コロナで自宅待機の会社が多い

 この1年自宅勤務に変わった人が多いですが、大企業などはまだ続いています。そのこともあり、中学生の職業体験をコロナでテレワークの社員が多いために、受け入れ対応できないケースが多いようです。できるだけ、親の会社や親の友人の会社は避けて、リストアップした会社に直接申し込みをするのがポイントです。しかし、そのハードルが今年は上がってしまったようで、職業体験先がなかなか決まらない生徒も多いとか。
 もちろん知り合いの会社に頼むことはダメではないので、最終的にはOKですが、それでも、生徒を半日から1日入れることに抵抗がある会社もいるようです。または、実際にその会社で研修を真剣に考えているなら(進学しないなら)、職業体験を受け入れるという会社もあります。

研修先を探す生徒には大きな課題

 会社もコロナだからと言って、次の世代を担う若者を受け入れないわけには行きません。職業体験ではなく、実際に研修先を探す生徒にとっては大きな課題です。自分の希望していた職種が、コロナで窮地に陥っているような場合は、ますます難しくなります。日本でも就職難の時に、就職浪人として大学にわざと残った人もいますが、中学生や高校生はそれも難しいわけです。
若者は、このコロナパンデミックで将来が不安だと思う人が増えています。社会全体がそうした状況で、家庭環境もコロナで変わってしまったわけですから、当然かも知れません。

 しかし、そうした環境は、物事をより考えるきっかけにもなっているわけで、社会にとって何が必要か、他の国はどうしているのかなど、新たに感じたことも多いでしょう。自然災害やテロなど、いつの時代もそうした大変な時期はやって来ます。それを乗り越えるとまた違った世界が見えてくるはずです。今、若者だけでなく、すべての世代に影響を及ぼしているコロナパンデミックは、良くも悪くもいろんなことを考えるきっかけになっていると思います。