スイスでの税申告

提出期限を過ぎてもお咎めなし?

スイスでは、税申告を自分で行わなければなりません。お隣ドイツや日本のように、給与から天引きされていれば楽なのですが、スイスでは毎年各自が書類を集めて行います。

会社員の場合は、比較的楽で、給与の明細や銀行口座の年末残高証明が各金融機関から勝手に送られてくるので、それを提出するだけで済みます。

不動産などを所有している場合はまた少し手間がありますが、面倒な場合は、税理士事務所に頼む人もいます。

この6月が締め切りという自治体も多いと思いますが、この提出期限を過ぎても、特にペナルティもないようで、あまりに遅いと早く出してくださいと手紙がくるようです。

税が確定したら、請求書が来るので、その額を振り込むわけですが、支払いが遅れても罰則などはないようです。もちろん、1年間払っていないとかになると、別の通告が来ますが、割とアバウトな印象です。

オンラインでも可能

近年はオンラインによる確定申告もできますが、事業者などは、なかなかそうもいかず、提出する書類が増えるため、郵送で送ることになるケースが多いです。

スキャンすれば、もちろん楽ですが、手元にある書類を郵送した方が手間が省ける場合もあるので、事業の規模や書類の管理方法にもよります。

パソコンにソフトウェアをインストールして、あとは手順に沿って必要事項を入力していくだけですが、最初はやはりややこしく感じるかもしれません。

日本の口座も残高証明を提出

スイスに住んでいる以上、基本的には、スイス国外に所有する資産も提出しなければなりません。その意味で、日本の銀行口座の残高証明(英文)も提出が必要になります。日本の銀行に頼めば、毎年年末の証明を送ってくれます。住所は日本の住所になるケースが多いです。

駐在などで、短期的にスイスに滞在している人は、その辺の条件が違うかもしれないのですが、結婚などで、移住してこちらで暮らしている場合は、例えば別荘などの資産も記入します。

しかし、母国の資産や預金を提出しない人は、実は非常に多いようで、額にもよりますが、後から追徴でとなるケースもあるので注意が必要です。

申告漏れがあると

たくさん土地を持っていたり、資産が多い方は、提出を単純に忘れる人もいて、罰則はないものの、追徴課税で請求書がきます。

土地や物件の場合は、他国に別荘として所有している人も多いので、スイスも割と厳しめで審査してくるようです。

この辺は、税申告だけでなく、将来、スイスの高齢者施設に入居する際にも所有資産の申告をしなければならず、これを怠ったり、隠したりすると、自治体が負担する金額などの変更が生じて、問題が起こります。その場合は、当然遡って差額を請求されます。

年金統合システム

実際には、まだどうなるかわかりませんが、将来的にスイスも日本も双方の国で支払った年金額を統合して、最終的な年金支払額が決まると、何年も前に決定がされていましたが、定年退職するまでに、駐在で何カ国もの国に住んでいた場合、本当にちゃんと各国で払った分を統合できるのか不安ではあります。

これまでは、日本に帰るとなった場合、外国で支払った年金などは、一旦払い戻しという方法で手続きをした方もいますが、それもしなくて良いということになります。

日本でもマイナンバーカードを推奨していますが、銀行口座との紐付け、免許証との紐付けも検討されていて、いずれ、そこに海外で支払った年金情報なども入るということになるのかもしれません。

こうしたデジタル化がうまく機能して、統合された場合、これまで申告して来なかった資産や預金の情報が出るのではないかと心配している方もいます。

同性婚のカップルも家族単位で税申告

同性婚、もしくはパートナーシップ制度で、家族となっている同性カップルの場合は、これまでできなかった家族単位での税申告ができます。

これまでは、別々で税申告して、税率も独身者扱いで高かったのですが、それも軽減されました。

これについては、税制面の優遇だけでなく、パートナーの最期の瞬間に病室に立ち会えないなどのケースも解消されるので、こうしたパートナーシップ制度を利用する同性カップルが増えました。

この辺の制度改革は、スイスでは近年進んできているようですが、他の欧州国にはまだ遅れをとっているようです。

とにかく、年に一回の税申告は面倒ではありますが、スイスに住んでいる以上、諸々の書類を忘れないように申告しなければなりません。