小児喘息を患った子供時代から発作が出なくなるまで

初めて喘息用のスプレーを処方される

大学に入り、発作が出ることもあまりなくなっていましたが、やはり風邪をひくと他の人よりは気管支が弱いため、長引いたように思います。そして、在学中に欧州を旅行し、その後カナダに1年間行くことを決断します。心配だったのは、やはり言葉の不自由な外国での発作です。ほとんど出ていなかったとはいえ、空気も水も違う海外で、喘息が出ないとも限りません。行く前に医師と相談し、初めて喘息用のスプレーをもらいました。

喘息用スプレーの効果に驚く

実際に海外に行く前に、少し風邪気味になったことがあり、気管支が苦しくなったのですが、悪化させないために、このスプレーを使いました。その時のことは今でも記憶していますが、一瞬吸い込んだだけのスプレーが、瞬く間に気管支を広げてくれ、呼吸が瞬時に楽になりました。もちろん症状が軽かったせいもありますが、その効果に驚いたと同時に少し怖くなりました。

あれだけ苦しんだ子供時代の喘息の症状が一瞬で消えるのですから、まるで魔法です。やはり強い薬なんだと認識し、むやみに使うことだけは避けようと決めました。使い続けることで、喘息の発作がまた強くなってしまうのでは?という心配の方が先立ってしまい、なるべく使わずにいました。実際には喘息用のスプレー式ステロイド剤は、喉や気管支で止まり体全体に行くことはないそうですが、一瞬で発作がおさまる体験は自分には衝撃でした。

幸いなことに、海外滞在中は医者に行くこともなく帰国しましたが、この経験は本当に薬の使い方は気をつけようという気持ちになりました。実はそのカナダ滞在中にある喘息の学生の話を現地の日本語新聞で読んだことがあるのですが、自分と同じように1年間カナダに滞在していた日本人学生が喘息の発作を起こし、ホストファミリーが緊急に渡した薬が体に合わず、副作用を起こして亡くなるという恐ろしい話でした。海外での知らない薬の服用は、慎重にしないといけないということは聞いていましたが、その話を聞いて、人ごとではないと思いました。日本人も多い町でしたので、できれば現地の日本人医師に相談するのも大事なのかなと思いました。

日本と海外では、薬局で買える薬の種類も違うので注意

例えば解熱剤のアスピリン系の薬は、人によっては、喘息を引き起こすことが知られています。アスピリン喘息と言うそうです。昔は日本でも入手に医師の処方箋が必要だった薬も今は薬局で買える場合もあります。ですので、より注意が必要で、薬剤師がきちんと相談に乗ってくれればいいとは思いますが、副作用が怖い場合はかかりつけの医師への相談がいいでしょう。特にピリン系の薬は合わない人も多いので、たかが解熱剤と思わずに医師に相談するのがいいでしょう。

自分の場合は、喘息はもう発作が出ることはなくなりましたが、ドイツにいた頃に偏頭痛がひどくなり、薬局の薬剤師に相談して薬を紹介してもらいました。運良くその薬が合ったので、いまでもその偏頭痛薬をドイツの薬局まで買いに行っています。

今年は春先にコロナウィルスの感染拡大があり、イブプロフェンの薬がコロナウィルスに感染している場合に服用すると危険!というような、はっきりしない情報も出回りました。その後すぐに訂正されましたが、一つの薬が全ての人に同じ効果を発揮するわけではないですし、場合によっては、副作用となって現れるので、改めて薬の服用に気をつけています。

なお、傾向としてですが、スイスの医師はあまり薬についてはそうした効果や副作用の話やアドバイスをしません。もちろんこちらから聞けば意見を述べてくれるのですが、薬の効用や副作用については、薬剤師の方が説明が上手で体質に合わせたアドバイスをくれることが多いと感じます。「医師は病気の専門家、薬剤師は薬の専門家」と言う認識でいいのかなと思います。

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