職場へ犬と同伴出勤

犬と一緒に出勤する

最近よく聞くようになった、犬と同伴出勤する会社員。オフィスに2頭いるなんてことも珍しくなく、日本では考えられない環境です。

知人の会社では、最近新しく管理職のポジションに男性が入社し、処遇交渉の時点で犬が同伴することとありました。転職の面談で、犬を連れてきて良いかと聞いているのですから、それだけでも驚きです。

既に別の社員の犬がオフィスにいるため、採用側もダメとは言えなかったようですが、幸いスタッフの全員が犬に対して寛容で、反対する人もいなかったため、犬同伴の条件でも採用となったそうです。

ただし、当然のことながら、きちんとしつけされていて、職場で吠えたりしないことは前提条件です。新管理職の男性も毎日犬を連れてくるわけではないようですが、既に前の会社でも自分のオフィスに犬を連れて出勤していたようです。

また、管理職ということもあり、オフィスも個室になるわけで、様々な条件が揃わないと、犬との出勤もハードルは高いとは思います。

犬の毛のアレルギーの人もいるので、同じオフィスにいる場合は難しいかもしれませんが、スイスは本当に犬に寛容な国だと思います。

公共交通機関もレストランも同伴OK

スイスの場合、ほとんどのレストランで犬が入店できます。もちろん、入店前に確認はするのが通常ですが、特別な理由がない限り大丈夫です。

また、電車やバスも犬用のチケットを買えば乗ることができますので、非常に便利です。

日本では、レストランはもちろんのこと電車やバスには盲導犬以外は乗車できませんので、スイスの人にはよく驚かれます。

ただ、東京のような都市部において、犬が地下鉄やバスに乗るのが良いかと聞かれたら、正直とても現実的とは言えません。

ラッシュアワーなど、犬が床に座っていたら怪我をしそうで怖いですし、犬にも人間にも危険です。

ノーリードで散歩

日本でも田舎のほうに行けば、リード無しで散歩している人もいるようですが、これはスイスにおいても同じで、公共の場ではリードに繋ぐようにルールが決められています。

しかし、郊外に行くと、車がたくさん走っている道路の横でも、ノーリードで散歩している犬をたまに見かけます。

しつけができているのはわかりますが、マナーとしてリードをつけてもらいたい時はあります。犬を怖がる人も、子供を含めいますので、そうした人たちへの配慮が足りないとトラブルに発展しがちです。

散歩中に遭遇した犬がリードをつけていたら、ノーリードで散歩している犬の方(飼い主)がリードをつけるという暗黙の了解があります。一応マナーとして、犬の飼い主には周知されていますが、それをあえてしない人もいます。

飼い主同士が了解して、広い草むらなどで自由に遊ばせるのは問題ありません。周囲に迷惑がかからないようにしていれば、誰も文句を言いません。

犬用のゴミ箱もたくさんある

スイスでは、どこに行っても道端に犬用のゴミ箱があります。犬の糞を始末するビニール袋も設置されていて、これらは飼い主が払う犬税で賄われています。

それでも、道端に落ちていることがありますが、ほとんどの飼い主はマナーを持って散歩しているので、道は他の欧州国に比べてもきれいです。

しかし、この犬用のビニール袋をごっそり持って行ってしまう人がいます。

家庭用の野菜や肉のゴミを入れて、犬用のゴミ箱にわざわざ持ってくるような人がいます。

最初その話を他の犬の飼い主に聞いたときは、そんなことする人がいるだろうか?と思っていましたが、実際に何度か見かけました。

犬用のビニール袋も必要な時になかったら、糞はそのままです。無料だからと、ごっそり持っていく人の気がしれませんが、どこにでもモラルのない人はいるようです。

動物に優しく飼い主に厳しい

動物保護団体などは、劣悪な環境で飼われている犬や猫を保護しますが、例えば、飼育放棄、虐待を受けているようなペットがいた場合、それを目撃した人が通報することもあります。

犬や猫を叩いたりするのはもちろんですが、予防接種をしない、餌を十分与えないとか、散歩に行かず鎖に注ぎっぱなし、もしくはゲージに入れたままなど、ケースとしては少ないですが、たまにあるようです。

犬の権利は保障されている反面、飼い主側には、きちんとしたマナーや規則を守るように決められているので、良い意味で厳しいのかもしれません。

犬のEUパスポート

また、スイスで登録された犬には、EUのパスポートが発行されます。これは、スイス以外の欧州国に入国する際のもので、その国で必要なワクチン接種をしているかなど、確認するためのものです。怪しい場合は、売買目的で連れてきていないかの確認もすることがあるようですが、ほとんどがワクチン関連の確認です。

動物の場合も様々な感染症などがありますので、その国のルールに従ったワクチンの接種などをしている必要があります。

その証明があるということは、定期的に獣医さんのところにも行っているという証明ですので、非常に大事です。

また、犬によっては入国できない犬種もあり、主に闘犬などの非常に扱いが難しい獰猛な犬は入国を禁止している国もあります。

当然そうした犬種は、職場にも向いていないため、流石にスイスでも仕事に連れていくことは難しいと思います。

 

とにかく、犬を飼っている人が多いスイス。犬にとって良い環境を常に考えて人間と暮らせるのは良いことだと思います。

そのためには、犬税をはじめ、飼い主がきちんとした規則を守っていることも背景にあります。

日本人からすると驚くことも多いですが、スイスは、犬にとっても非常に暮らしやすい国だと言えると思います。