差別を意識したのは最初の海外生活

今年アメリカで起こっていた黒人への差別

アメリカは現在、大統領選挙が終わりましたが、集計に関してはまだ混乱が続きそうな感じです。誰が見ても、今年のアメリカは混乱状態でした。コロナウィルスの感染拡大も他国に比べてひどく、更には警官による黒人射殺事件が相次ぎ、SNSで世界中に拡散されました。アメリカの黒人差別は今に始まったことではありませんが、SNSを通して広まったこともあり、スポーツ選手や著名人がBLMというメッセージを発信して、全米各地のデモに発展していきました。その影響が欧州にまで届き、差別に反対するデモはスイスでも起こりました。

差別、コロナウィルス、テロと、この3つのキーワードは、今年世界中を混乱に陥れたことは間違いないでしょう。コロナウィルスの感染拡大でも、アジア系の人が当初差別を受けましたし、テロが起きると、善良なイスラム系の人たちもいわれのない差別を受けます。全てが差別に直結している気がして、気分のいいことではありません。

日本でもそうしたことは報道されていますが、果たしてほとんど差別を受けたことがない日本に住む日本人が、それをどう感じているのか?とふと思いました。特にイスラム系の人たちに関しての情報は乏しいし、ほとんど実態を知らないと思います。最近はネットのニュース記事にもコメントがつきますが、先日のアメリカの大統領選挙も含めて、そうした温度差を数々のコメントの中に感じました。メディアの報道にも流されやすいのはいまも変わっていません。

日本と欧州、アメリカはそれぞれ立場も環境も違います。アフリカや南米もそうでしょう。日本は島国、アメリカはいろんな人種が集まってできた国で、欧州は様々な文化や言語が隣り合っている環境です。単純に比較することはできませんが、その異なる国々が、今年はコロナウィルスという同じものに翻弄されているのは事実です。そうした状況であぶり出される人々の不安や感情は、悪い方向に向かいがちです。原因を探し、見つけると確証なくても迷わず攻撃をする。そうした負の連鎖を止めようとしたアメリカ人の意識が、大統領選挙の結果に僅差ですが表れたのではないかなと思います。

誰が大統領になろうと、正直、日本やスイスの一般の人の生活には何の影響もないでしょう。しかし、なんだかんだ言ってアメリカ国内の動向は発信力があり、良くも悪くも世界に影響を及ぼします。4年間、SNSを多用したアメリカの大統領でしたが、これから世界の見本となるアメリカの姿を発信してほしいと思います。