アメリカの黒人差別についての報道

bBearさんによる写真ACからの写真

根深い差別問題

 アメリカのミネソタ州ミネアポリスで黒人男性が、警察官による過剰な押さえ込みにより死亡した事件を受けて、この警察官は第3級殺人逮捕され、ミネソタの街では抗議デモが大きくなり、暴動、略奪という事態になっている。
 このところ、アメリカでは立て続けに黒人差別の事件が起きていた。ジョギング中の黒人男性がなんの理由もなく射殺され、ニューヨークでは、犬を放し飼いにしていたは白人のアメリカ人女性が、黒人男性に犬をリードをつなぐように言われて、怖くなり通報し非難を浴びた。その後、犬は保護され、女性も会社を解雇された。
 そして、今回の警察官による殺人。ニュースの映像は見るに堪えないが、こうした差別は今に始まった事ではない。ニュースになっていない事件の方が多いだろうと思う。

スイスでもある差別

 今回の報道を見て、スイスで暮らす日本人も他人事ではないと思った人も多いようだ。折しも、世間は新型コロナウィルスの影響で自粛生活を強いられている上、会社の経営が傾き解雇された人もいる。そうしたフラストレーションが溜まりに溜まって向かう先が、外国人であってもおかしくない。実際に、今回のコロナウィルスの影響で、日本人が消毒スプレーを吹きかけられたり、トラムやバスであからさまに席を変わったりされた話も聞いている。スイス人からしたら、アジア人は皆同じに見えるので、日本人でも関係ない。
 自身もスイスに暮らして長いが、他の国に比べれば差別は少ないと感じる。それでも、差別は確かにあるし経験もしている。

相互監視社会のスイス

 特にスイス人は、最初は距離を置いて相手を観察するとっつきにくいタイプだが、一度仲良くなると長い付き合いになる。スイスは相互監視社会とも言われるが、常に誰かに見られているようで正直あまりいい気分はしない。お宅のご主人は毎日帰りが遅いのね?なんて近所のおばさんに言われる話はしょっちゅうある。
 しかし、それが空き巣などが近所で起きた場合には、すぐに知らせてくれたりする。実際につい最近も、隣の家の奥さんが家の前で急に話しかけてきたので、何か文句でも言われるのかと思ったら、先週不審者が庭にいたから、お隣のあなたのお宅も庭に変な人がいないか、気をつけてね。とあいさつくらいしかしたことのない人が外国人の自分にわざわざ教えてくれた。
 それは、普段からあいさつをしていたことも影響していると思うが、庭やベランダから、お互いの様子が少し見えるので、相手もうちがどのような家族構成で、どんな人なのかと言うのを分かっていたからだと思う。外国人でなくても、近所にどんな人が住んでいるかは、確かに気になるかもしれない。意識しないでも、知らず知らずのうちに自分も相手を監視しているのかもしれない。

外国人として暮らす人は皆差別の対象

 海外で暮らす日本人もいまでは相当な数になり、大きな日本人コミュニティも世界中にたくさんある。しかし、1歩外へ出ればそこは外国で、差別に遭遇することも当たり前のことになる。差別を容認するわけにはいかないが、差別があることを認識しておかないといけない。
 大人だけではなく、子供達の通う小中学校でも差別がある。子供は時に残酷で、悪ふざけのつもりで差別的な画像や動画が、子供たちの間でスマートフォンを介して出回ってしまうこともある。そうした時の先生や保護者の対応は重要で、すぐに対処して問題が大きくならないように芽を摘んでおくこともできる。非常にデリケートで難しい問題ではある。
 今回改めて報道を見て、差別問題は人類の永遠の課題なのかもしれないと思う。