自粛緩和でも人による温度差

大幅な自粛解除により人の動きも変わってくる6月

 新型コロナウィルス感染拡大による自粛生活もいよいよ大きな変化をしてくると思われる6月。すでに発表されたように、30名までの集まりや結婚式などのイベントも300名まで引き上げられる6月。人の動きも多くなる反面、依然として気をつけている人もいて、その温度差が出てきている。

 極端な例なのかもしれないが、知人の話を紹介すると、その知人の兄弟の家では、食料品の買い出しは一切行かずオンライン注文に。過剰なまでに人との接触を避けている家庭であるのに、身内や感染の恐れがない人は家に招いているようで、すでにそこから矛盾しているのだが、来客者に求めるお願いがなかなかすごい。

 まず、食事に招かれる客には、自分の使うお皿とフォークとナイフは持参してくれと言うもの。さらには、家の中にあるものには、一切触れないこと。また、トイレは指定されたゲスト用のバスルームだけ使用すること。庭にはわざわざゲスト用に買ったバルコニーの椅子とテーブルがあり、それ以外は使用禁止という厳しいルールを設けているそうだ。そんな状況なら、自分なら行かないと思うが、これからウィルスと共存しなければいけない場合、どう暮らして行くのか不思議な気がする。

 また別の家族では、自粛緩和により、子供の結婚式がようやく出来るとあって大変喜んでいた。年齢的にもリスクグループではあるが、今回のコロナウィルス騒動にはしらけていて、握手やハグはもうしているそうだ。そう言う人が、結婚式などに行くとおそらくたくさんの人と接触することになると思うが、ウィルスを持ち帰ることにならなければいいと思う。

 そして休暇の話題では、海外への休暇は全てキャンセルにした家庭も多い。しかし、スイスが推奨している国内での休暇と言うことで、この夏のスイスの山や湖周辺は、スイス人観光客で溢れかえりそうな状況だ。そうすると、逆に人が密集してしまい、感染リスクは高まる。
 また、イタリア側の国境も、スイス人はイタリアに入国できるが、イタリア人はまだスイスに入国できないようなので、国境近くの街も食事や買い物で行くスイス人でいっぱいになりそうだ。

チューリッヒでは2000名規模のデモ

 今日は聖霊降臨祭の月曜日で祭日。300名までのイベントは6/6からでまだ許可されていないが、チューリッヒでは、1000名規模のデモ行進をしている。しかも、新型コロナに関するでもと思いきや、アメリカで起きている警察官により黒人が殺された事件に対するデモだそうだ。欧州にも波及してきている事に少し驚くが、新型コロナにより自粛生活の捌け口に黒人が殺されているというような論調もあり、この世界的な自粛状況に全く無関係とはいえない気もする。

日本でも海外からの入国規制を徐々に解除

 日本には、現在日本国籍の人やその家族以外は、限定されたフライトのため観光目的の入国はできないが、これも徐々に解除して行くようだ。しかし、入国と出国で検査義務を課す予定だということから、まだまだ日本に不要な渡航をする人はいないだろうと予想できる。もっとも、欧州からの入国規制はまだ解除していないので、近隣のアジア諸国や新型コロナ対策がうまく機能しているニュージーランドなどが最初の対象のようだ。

 新規感染者も減ってきており、例えばスウェーデンなどロックダウンをしなかった国の感染死亡推移とロックダウンをしたスイスの推移を比べても、スイスの方がうわまっているので、もっと早く解除しろという声もあり、ロックダウンそのものが意味がなかったという人もいる。しかし、隣がイタリアであるスイスと北欧のスウェーデンでは、単純に数字だけの比較をするのが難しい気もする。ロックダウンの目的は、やはり医療崩壊しないための策だったと忘れてしまった人も多いので、この辺はスイスとしては十分に国民に周知して対策を練ったのではないかと思う。

 とにかく、皆がある程度自由に動ける夏になることを願うし、孫の顔を間近に見れるようになる、おじいさんやおばあさんには、十分楽しんでほしいと思う。