冬場に多い体調不良、気分障害

今年も間も無く終わりに近づき、世間は徐々にクリスマスムードに入っている。
これまで4カ国で暮らしてきた経験があるが、年末の慌ただしい雰囲気はどこの国でも同じだなと思う。
そこには、クリスマスの楽しい雰囲気と何か差し迫った重い空気と、その二つが混在しているように思う。
この時期単なる風邪ではなく、体調を崩す人が多いのもそのせいだろうか。気分障害や季節鬱だ。

ある人が、会社のクリスマスディナーで騒いで盛り上がっていたのに、翌日出社して来ず、そのまま数週間の自宅待機の診断書を送付して休職した人もいる。
理由は仕事とは関係ないプライベートな事らしいが、ベッドから全く起き上がれないとか。
年末はこのように気分が急に落ち込む人も多い。
寒さ、日の短さ、独り身の辛さ、人間関係など理由は様々だが、その要因となる事柄は確かに多い。
年末は1年を振り返ってしまうもので、普段気にしない事でも、妙に気に留めてしまううえ、他人の楽しそうな話や予定にうんざりしてしまう場合もある。

こうした時は、なるべく外に出て人に会うなど、行動を起こすことが必要だと言われるが、それはあくまで軽度の症状の人と言ったほうがいい。
重度の鬱の人の場合は、専門医に診てもらうのがベストだが、なかなか自分の問題を人と共有しようとする人はいない。ましてや落ち込んでいるのに、それを人に知られたいとも思わないだろう。打ち明けたところで、周囲に理解してくれる人は少ないし、話せば他人のクリスマスムードを壊すことになり、変な気を使わせたくないと思ってしまい、結局話せずじまいで時間は過ぎていく。

欧州に住むようになり、華やかな本場のクリスマスを感じるとともに、こうした暗い部分もあるのだと知った時は、街行く人の顔を少し違う角度で気持ちで見てしまうようになった。
日本では、宗教的な意味合いの薄いクリスマスよりも、正月の方が大事と考える人が多いが、結局一人の正月も寂しいのは同じ事かなと思ったりもした。
年末年始、今年の反省と新年の抱負を意識して、確かに考え込んでしまう時期かも知れない。
だからこそ、楽しいことを優先したいものだ。