スイスでも報道の日本の現職総理に対する爆弾投下事件

スイスでも夜のニュースで報道

昨年の安倍さんが銃撃され亡くなった事件からまだ1年も経ってない中、今度は現職の総理が狙われて、爆弾が投げつけられました。

幸い、怪我人も軽症の人が数名で大事には至ってないですが、なぜ、こうしたことが起きるのか。

ここに日本の社会の歪みのようなものを感じてしまいます。

この事件は、スイスでも報道されましたが、それほど大きくは取り上げられていません。ちなみにスイスでは、大臣級の政治家でもSPなしで普通に外を出歩いています。

日本の社会構造

若い世代が、活躍できない社会になっているのは、この数十年で顕著になってきている問題です。

日本の社会で一度レールから外れてしまうことの怖さや、使い捨てにされるようなブラック企業の存在もこうした悪循環から生み出された気がします。

そうした社会からはじき出された、チャンスすら与えられない若者が、闇バイトという形で犯罪に加担し、最悪の場合、人を殺めてしまうという悲しいことが起きています。

東南アジアなどに拠点を置いて、日本での犯罪行為を指揮するような組織だった犯罪集団も大きく報道されましたが、これを詐欺や強盗の犯罪ではなく、真っ当なビジネスとしてやってもある程度成功したのではないのかとも思えます。

犯罪とはいえ、あれだけ組織立てて実行する能力があるのであれば、一般社会での事業に置き換えてもうまく行きそうな気はします。

しかし、それを許さないのが日本の社会なのかも知れません。

お金を使える人、そうでない人

日本でもコロナ対策が緩和され、インバウンド需要が期待されています。外国からの観光客にとっては、今まで高かった日本のものが大安売りとなっている状態で、売り上げが伸びることは喜ばしい反面、素直に喜べない気もします。

東京丸の内のオフィス街で勤務する知人によると、こうした動きはよく見えるそうで、日本人でもお金を使える人たちとそうでない人たちの差がわかるそうです。

実際に、コロナ対策が緩和されてからは、働き盛りの30代女性が消費に貢献しているそうで、購買意欲が一番高い層だそうです。

一方で、中年男性のサラリーマン世代は、買い控えのまま消費には繋がっていないようです。

コロナ禍で、格差が一層広がったようにも見えます。コロナ禍でも、安定した職業を持っている人は、買い物や外食が単純に支出が減り、貯蓄に回すことができたという人もいる中、逆にコロナ禍で職を失ったり、商売を畳んでしまったという人もいます。

スイスの雇用状況

それはスイスにおいても同じで、コロナ禍に、企業は人員削減をしたり、事業の規模を小さくして存続の道を選んだり、もしくは事業そのものを諦めてしまったりということが起きました。それを機に転職も増えました。

現在スイスでは、経済活動が戻りつつある中、いろいろな職場での人手不足が問題となっています。しかしながら、そのポジションが埋まらないのだそうで、人手不足はあまり改善していないのだとか。

どういうことかというと、応募はあるものの、要件を満たさない外国人の応募も多く、職業研修を受けていない外国人の雇用がなかなか難しいようです。スイス人が好まない職種である場合もあります。

スイスでは、職業訓練制度があるため、誰もがこのシステムに準じて学業を終えて、職を手にするのですが、大人になってから移住してきた場合は、特定の職を除いて、ハードルが高くなります。

まずはもちろん言語の習得ですが、それに加えて、応募の要件を満たすために、職業訓練校などにも通う必要があったりします。学校に通うということは、そのレベルの言語を習得しなければ、授業も職業訓練も難しいわけで、主に特殊技能を持っていない移住者の場合は難しくなっています。

もし大学や大学院に通うことができるなら、その流れで就職先は見つかりやすくなります。

日本を脱出する若者

日本に話を戻せば、こうした閉塞感漂う日本の社会を脱出して、同じ職種でも倍くらいは稼げるといったようなニュースも報道されていました。北米にある、日本食レストランのウェイターや料理人の人がインタビューに答えていましたが、日本いた頃の倍以上は給与としてもらっていると話していました。

為替の換算値で、日本円にすると給与が倍ということでしたが、それだけを見て海外を目指すのもどうなのかなと思います。

現地で雇用されるのは良いことですが、国によっては、スイスのように生活費自体が高額なケースもありますし、保険料も家賃も高額です。日本の倍稼いでも、あっという間になくなります。

そうしたことには触れず報道して、単純に倍の給与がもらえるなんていうのは、浅はかな気がします。

確かに、若いうちに海外へ出た方が経験にもなり、やり直しが効くので良いかもしれません。海外生活が気に入って、そのままそこで生活していくのか、現実を目の当たりにして日本へ帰るのかはその人次第ですが、アジアの経済大国日本が、もう稼げない国だとなると寂しい限りです。

こうした日本の社会構造や経済状況が、若者の将来を押し潰している気がして、不満が募っている人は多いと思われます。

逮捕された犯人のように、一定の職につかず、家に引きこもりがちで、社会との接点がない場合は、自宅で爆弾を製造していても、何かの計画をしていても誰にもわかりません。警察もマークをするということ自体できません。

今回の現職総理への爆弾投下事件にも、こうした若者が置かれた状況と無関係ではないと感じました。