唐揚げ屋のWAKARAさん

余談ですが、日本は現在唐揚げブームで、唐揚げグランプリ、唐揚げ祭りなど多くのイベントが開催されています。また唐揚協会というちゃんとした団体があり、その会員はカラアゲニストと呼ばれ、今やその会員数は10万人を超えています。もちろん私もカラアゲニストの一人です。

そうですか、唐揚協会なるものがあるとは知りませんでした。何においても本当につながりは大事です。起業に際して、苦労した面はなんでしたか?

中村さん:会社を設立するにあたり、スイスでの法律や税務処理など全く分からないことだらけでしたので、その点が難しかったように思います。しかし、そのあたりは妻のマヌエラがすべてやってくれました。妻が主に事務的な仕事や社長業をして、私が現場での一従業員という感じですね(笑)

屋台のデザインやロゴデザインなどは、自身で考案されたのでしょうか?

中村さん:はい。すべて自分たちでデザインを決め、屋台のスタンドやFoodtruckの内装など、すべてが自作です。ここでも今までのTechnicianとしての経験が役に立ったと思います。

なるほど、手先の器用さが屋台の骨組みに生かされていたんですね。さすがです。
冒頭でも少し触れていただきましたが、スイス人にとって日本食というと、寿司や天ぷらが認知されていますが、唐揚げをメインにした理由は?またスイス人には浸透していますか?

中村さん:前述しましたように、やはり日本唐揚協会のやすひさ会長とお知り合いになれたことが一番大きいですね。唐揚協会のモットーは、唐揚げを通して世界平和。何かふざけたようにも思えるのですが、会長さんとのお話で、「唐揚げを食べると皆が優しくなる、笑顔になる」、「怒っている、イライラしている人でも唐揚げを食べると笑顔になる」、「食卓に唐揚げを囲み家族で歓声をあげる」などこのお話を聞いたとき、確かにそうだなって思ったんです。

寿司、天ぷらなどはスイス人にも認知されているのでやり易いのかもしれません。しかし唐揚げは全くというほどスイスでは知られていません。だからこそ広めてみたい、そこにやりがいを感じました。また寿司は簡単で儲かるから、寿司ブームだからといった理由で日本人ではない方がやられているのをよく目にします。美味しいかどうかは別として、私は日本人の精神で作るもの、日本人のおもてなしの心で提供するものが本当の美味しいものだと思っています。ですので、日本人のおもてなしの気持ちを忘れず、これが日本人、日本の文化なんだっていうことをスイスの方に伝えることが出来ればと思っています。

確かに寿司や天ぷら以外でも日本食のバリエーションは豊富ですし、まだ認知されていないものも多いです。そして、美味しいものへの探究心は、日本人なら誰もが感じるところですね、海外に住んでいればなおさらです。日本人ほど食べ物にこだわりを持っている人種はないかもしれませんね。

お店では、唐揚げの他にお弁当もいくつか用意されていますが、唐揚げとサラダをおにぎりで挟んだ「おにぎらず」は面白いですね。唐揚げにスイスのチーズをのせるのはどうでしょう?

中村さん:いいアイデアですね。唐揚げにチーズをのせるということはまだやったことがないのですが、一度試してみます!

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