ワインの香りのほとんどは、醸造やその後の熟成によって生まれる。こ
の人の手を介して生まれた香りをブーケという。アロマを持つワインは
とても限られているので、普段に飲むワインの中でアロマを持つワイン
はほとんど見かけない。そこで、ワインの香りを評価する場合、ほとん
どブーケを評価することと同じになる。

ブーケは、ぶどうの品種によって現れるもの、土質や環境によるもの、
醸造によるもの、熟成によるもの、などに分類される。よって、ブーケ
を分析すると、ワインを味わう前に、それがどんなぶどうから、どんな
場所・環境で、どの様な醸造によって、いつ頃造られたかなどが大まか
に判断出来る。

ワインの鑑定家は、ワインの色と香りによって、おおまかにそれがどん
な素性のワインかを飲む前に知ってしまうのだ。

ぶどうの品種に特徴的なブーケとしては、例えばカベルネ・ソーヴィ
ニョンで造られた赤ワインに、カシスのブーケが現れること。ピノ・ノ
ワールで造られた赤ワインにフランボワーズのブーケが現れること、
シャルドネで造られた白ワインに青リンゴのブーケが現れることなどが
有名である。

ティチーノ州の赤ワインはメルローというぶどう品種で造られる。この
メルローはミントのブーケが特徴的で、上質のティチーノワインにもそ
れが現れるし、スイス全般で造られているピノ・ノワールの上質な赤に
は、フランボワーズのブーケが豊かに現れる。スイスの主用品種である
シャスラはメロンやマンゴーを連想する香りが特徴的で、東スイスで主
に栽培されるリースリング・シルヴァネルはほのかなミントのブーケや
マスカットのアロマが現れる。