スイスでは3.3%の世帯が生活保護を受けている。2004年頃からの経済成長の裏にこんな数字が出てきた。若い世代においても、職業教育を受けていない者、受けていても途中で止めてしまい、別の職業での就業が難しい事などが理由にあげられる。

 カントン別に見ると、チューリッヒやバーゼルシュタット、ジュネーブ、ヴォー、ヌシャテルなどで軒並み割合が高くなっている。生活保護申請世帯の44%が外国人で、言葉の問題を含め、スイスで職業教育を受けていない人が多いため、就業自体が困難と見られる。
 スイスの職業教育については、近年その是非が問われ始め、将来の職業選択の可能性の幅を狭くし、低年齢での実質職業選択について議論がされている。異業種への転職が難しい訳で、その場合その分野の職業教育を一から受けなおす事にもなる。

 一方で56歳から64歳の家庭を見た場合、この数年で12%の生活保護世帯の増加率となっている。子供の養育費負担やリストラ、早期退職、熟年離婚などの理由があげられ、深刻な問題になってきている。年金受給者に関しても、年金だけでの生活は厳しいのが現状である。

 また、母子家庭などでは、パートタイムで働く人が多く、生活保護に頼らざるを得ない状況になっている。託児所などもあるが、仮に子供をフルタイムで預けた場合のコストは、ほとんど1ヶ月分の給与に相当する事も珍しくないため、現実では難しい。
 
 高齢化社会の負担は、高齢者にも、次の世代を担う若い世代にも出てきているのが実情である。特に将来を担う子供たちの生活環境や教育に悪い影響が出ないか心配される。