スイスの新学期

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ほとんどの地域で、今週から新学期、新学年が始まったスイスの学校。
新入学の生徒はもちろん、新しい学年の始まりが8月の中旬で、日本ではお盆の時期になる。

小学校では、新1年生を上級生が1-2週間、登下校の際に家まで迎えに行き、一緒に歩いてくれたりする。
スイスでは、幼稚園の時から自分の足で歩くように言われ、なるべく親は子供を自立させるべく、車での送り迎えはしないように勧めている。
それでも、出勤途中の父親が車に乗せて、幼稚園まで送るケースは多い。ちなみにインターナショナルスクールでは、ほとんどが車での送迎。

小学校では、1、2年生の2年間は同じ担任の先生であることが多く、小学校6年間で3人の先生に世話になる。補助的な先生がつくことがほとんどで1クラス2人体制。
専門性の高い科目、宗教やフランス語、英語などは、別の先生が担当する。
ほとんどの場合、1クラス20名前後で、先生の目が行き渡る環境だが、中には手のかかる難しい生徒もおり、補助の先生が必要だ。
しかし、あまりそちらの生徒の時間を取られすぎると、親からのクレームが入る。言葉の遅れがある生徒は、1年か2年、言語を習得するためのクラスに在籍し、授業についていける状態になったら、通常のクラスに編入する。
それでも、スイス人の子供には遅れをとることがあるため、通常のクラスでも週に一回程度、別メニューの授業を受けることもあるようだ。

とにかく、スイスでも生徒の国籍や民族が多様になっていて、生徒全員が純粋なスイス人ということはありえない。最近では先生も外国の出身だったりする。
とかく、宗教の授業に関しては、イスラム教を信仰する家庭の子どもは「免除」というわけではないが、別の授業で時間割を当てる。これも担任側の負担にはなる。
「宗教の授業」と言っても、最初は世界の様々な宗教を学ぶ授業と思っていたが、教会から派遣された牧師やシスターが来て、主にキリスト教を子供たちに教える。キリスト教徒でない家庭の子には、積極的に教会の行事に誘い、教会に来るように勧める。いわば宗教活動を学校でしているわけで、日本人である自分には違和感があった。イラスム教の子供たちが参加しないわけである。

学校での別の問題では、親からのクレームが深刻になっている。実際にあった話だが、子供が休憩中に他の生徒と喧嘩をし、投げ飛ばされ軽いけがをした。翌日その子の親は学校に行き、その投げ飛ばした生徒を平手打ちして大問題になった。平手打ちされた生徒の親は、自分の子が先に手を出したということもあり許したが、それでは終わらなかった。なんと投げ飛ばされた生徒の親が、教師の監督不行届きということで、学校と休憩中の監視担当だった教師を訴えると言いだした。しばらくの間、その親は子供を学校に行かせず、勝手に自宅待機させた。結局学校側との話し合いの末、訴えは取り下げられたが、こうした教師へのストレスはかなり高まっている上、子供が親の勝手な行動に学校生活を壊されている。
これ以外にも、ちょっとしたことでクレームの電話をすぐに入れる親が多く、教師の業務の妨げ、精神的なストレスになるため、この学校は担任への直通電話を廃止した。

新学期が始まり、親は無事に次の1年が過ぎることを願うばかりだが、学校にはたくさんの問題があることがわかる。
教師にとって、この時期の保護者説明会は、最初の大きなハードルに違いない。