スイスの人口増加、今年には900万人に到達?

2023年のスイスの人口増加

現在スイスの人口は874万人ほどで、年々増えています。過去4年では、毎年6万人ずつの増加でしたが、昨年は7万人の増加でした。

アフリカ難民や中東、ウクライナ戦争の影響もあるでしょう。

人口が増えれば、消費が増えて経済的にはプラスになりますが、一方では、移民や難民の失業率も高く、社会保障の負担もあります。

そのため経済成長率は、移民増加とともに平均的なものになります。通常、その国の人口が増加すれば経済成長率も上がります。

また、スイスの住宅事情は、賃貸にしても高額で、人口の増加に対応し切れていないのが現状で、住宅は足りていません。

求人は多いのに

企業側にとっては、そうした移民を雇用したいと思っているにもかかわらず、なかなか雇用できていないようです。それには言葉の問題もありますが、スイスが職業訓練のシステムによって創出される雇用形態のため、職業訓練を終了できないケースや雇用条件を満たさないで見送るケースもあるとか。それでも、過去5年間では、30万人の正規雇用が生まれています。

今ではスイス国以外で生まれた人が3割ほど。海外生まれのスイス人を除き、いわゆる外国人家族が多く、家庭内での言語もドイツ語、フランス語、イタリア語ではありません。こうしたことも、学校の負担となっていて、スイスの国語を話せない、理解できない両親の元で育った2世や3世が、スイス社会に出て苦労することもあるようです。

人口増加阻止のイニシアティブ

2023年の選挙では、移民問題が再び大きな争点のひとつになりそうです。保守政党のSVPはすでに、2050年までにスイスの人口が1,000万人を超えないようにすることを目指す「サステナビリティ・持続可能性イニシアチブ」を発表しています。

移民の流入を制限すれば、他国からは差別的だとか、非人道的だと言われますが、スイスのような小国が移民を受け入れるにはどうしても限界があります。一方でスイスは過去40年、積極的に難民を受け入れてきた国ですので、それなりの対策や社会政策も築いてきており、多くの難民、移民の人たちが、スイス社会で活躍し貢献もしています。

実際に2023年の今年に、スイスの人口が900万人に到達するかはわかりませんが、移民が増えているのは事実です。コロナやウクライナ戦争に見られるように、外国人や異なる思想の人たちに対する攻撃は年々激しくなっていますので、こうしたイニシアティブが間違ったメッセージを与えないように、議論してほしいと思います。