深夜のクラブや酒場での喧嘩

クラブで年越しパーティー

年末年始になると、ふと思い出してしまうのが、親戚の男性が大晦日から新年にかけて、男二人組に襲われて重傷を負った事件。

もう何十年も前の話ですが、比較的平和なスイスの真夜中のクラブでの暴力事件に衝撃を受けました。

自身はそういったクラブなどには、もう行くことはないのですが、あと数年もすれば行く機会がありそうな子供には、そうした場での危険性を時折話しています。

きっかけは、大麻を注意したこと

当時親戚の男性は、スイス軍の職業軍人として、若くしてキャリアを築いている途中でした。

大晦日に、他の友人とクラブの年越しパーティーに参加し、入り口の外で待っている際に、若い二人組の男たちが大麻を吸っていたそうです。スイスの場合、それだけでは、大した問題ではないのですが、販売目的の所持や栽培は違法です。おそらく、親戚の男性は、大麻ではなく他の薬物の所持を見て、薬物ディーラーだと認識したようで、「こんなところで面倒起こすなよ」と注意したそうです。

その後は、クラブの店内でパーティーを楽しみ、年が明けて徒歩で自宅に向かっていたところ、数時間前に注意した男二人組につけられて、襲われました。

激しい暴行を受けた後に、ライン川の橋の上から、5メートル下の道路に投げ落とされてしまいました。

どのくらいの間、そこに倒れていたのかわかりませんが、朝の5時頃に、始発のバスの運転手に意識不明の状態で発見され、病院に搬送されました。幸い一命を取り留めましたが、あのまま真冬のスイスで放置していれば亡くなっていたと思われます。

その後、何ヶ月も入院し、車椅子生活に。キャリア途中だった職業軍人の道も断念します。リハビリの甲斐あって、また歩けるようになり、現在は別の職業についていますが、襲った犯人達は捕まっていません。

お酒のトラブルは本当に多い

この親戚の男性の事件は、酒に酔った上での喧嘩ではないですが、安全と言われるスイスでも、夜の酒場では酒に酔った客同士の喧嘩はしょっちゅう起きています。

単なる喧嘩なら良いですが、人種や民族が理由で起きる喧嘩が多いように思います。つまり外国人同士の喧嘩が多いという印象です。母国の過去の戦争や紛争の遺恨を残したまま、スイスや他の欧州の国に来ているわけで、そこでかつての敵国出身の人間と衝突するということが起きます。そうした国の事情が背景にある場合は、小競り合いは頻繁に起きます。

そこに酒が入れば、さらにエスカレートします。

人種、民族間の闘争を他国でやること自体が迷惑な話ですが、スイス人や日本人にはわからない複雑な背景やトラウマがあるのは想像できます。

夜間は常に緊張感を持って外出

スイスに住んでもう長くなりますが、真夜中まで街で過ごしたり、酒を飲んだりすることはなくなりました。それでも、友人宅に招かれ、夜遅くなって帰宅することなどはたまにありますし、そういう時は、周囲の状況を気にしながら、トラムやバスに乗車し、車の場合は駐車場に行くまで誰かにつけられていないかなど警戒はしています。

スイスでは、街灯も少なく、場所によっては本当に真っ暗で数メートル先しか見えないこともありますので、すれ違う人や近くを歩く人に注意を払っています。強盗をはたらくような人間は、常に人の行動を見ていますので、こちらも緊張しながら、目的地まで移動します。

大袈裟かもしれませんが、海外生活が長くなっても、そうした緊張感を忘れないようにしているのは、この親戚の男性の事件が記憶に残っているからかもしれません。

運悪くその時間、その場所にいるだけで、巻き込まれてしまう可能性は誰にでもあります。

安全なスイスは昼間のスイスです。夜の街はやはりどこでも危険と隣り合わせだと思いますので、皆さんもどうぞ気をつけてください。