ドイツでライヒスビュルガーが政府転覆を画策し、25名逮捕

国家転覆を計画した貴族の末裔

先週ドイツで、国家転覆、議会襲撃などの首謀者とされる、ハインリヒ13世の男が逮捕されましたが、この他にも25名が逮捕されていて、その中には、軍人や現役裁判官なども含まれるそうです。

いわゆる過激派、極右団体、反ユダヤ主義の思想を持つ人たちが集まり、警官殺害など、ドイツ国内でも多くの過激行動の犯罪を起こしています。

議会襲撃といえば、2021年の1月、アメリカの議会が暴徒によって襲撃された事件を思い起こします。専門家は、この事件にも影響を受けていると見ています。

日本ではかつて、オウム真理教が、政府転覆を画策した経緯がありますが、民主主義国家で起きたことに、皆驚いているようです。

スイス国内でも活動

政府のコロナ政策やワクチン推奨の流れを、「悪」とみなす人は一定数いて、どこの国でも意見は対立してきました。そうした政府のコロナ政策に不満なメンバーを取り込み、増やしていったようです。

スイスでもこのライヒスビュルガーは活動しているようですが、際立った問題行動は少なく、ドイツに比べるとまだ大人しいようです。スイスではこうした事件は起こりにくいだろうと見ていますが、この団体の他にも小さな極右団体は存在し、活動も行っています。

同じような思想を持つ別の団体にも影響を与えそうですが、ドイツ政府は計画の段階での大量逮捕に踏み切って正解でしょう。

ドイツでは土地買収も

この団体は、首謀者のハインリヒ13世という人物が、潤沢な資金をもとに、ドイツ各地で土地を買収し、元から住んでいた住民を追い払うなどの訴訟問題も起きています。拠点を確保し、そこで何を企んでいたかはわかりませんが、一部では軍関係者のメンバー経由で、大量の武器もこの団体に流れていたと言われていますので、かなり過激な行動を計画していたと思われます。

このハインリヒ13世は、貴族出身のライス家の末裔で、不動産業を営んでいたが、近年事業はうまくいかず、社会や政府に対する不満が徐々に大きくなっていったということです。

日本でも社会に不満を抱えた層が、突然無差別殺人などを起こす事件が目立っています。もともとあった社会への不満が、コロナパンデミックで更に制限されて、自分自身の生活や人生がもうどうにもならなくなり、自暴自棄のような状態で、無差別な事件を起こすと見られています。

無関係な市民が犠牲となる事件もあり、全く他人事ではありません。このような大きな不満が、政府や実社会に跳ね返ってきている気もします。

社会問題が顕著に

SNSの発達により、近年は身近な社会問題がクローズアップされることが多くなりました。TVやメディアの報道を信じない人や、SNSの中だけで活動する人も多く、同じ思想を持つ人の取り込みにも役立っているようです。

同じ悩みや不満を持つ見ず知らずの人が集まれば、何かできるのではないかと思い込み、大抵の場合は間違った方向に進んでいきます。ネガティブなエネルギーは良い方向には進まないものです。

コロナパンデミックが始まってから、こうしたSNSを通じて、初めて友人や知人の思想を知り、ショックを受けたり、人間関係に亀裂が入ったりという話は多く聞きましたし、周辺にもそうしたことがありました。

考え方が少し違うだけで、対立したり、関係が壊れたりすることはありますが、コロナパンデミック以降は、本当に増えたと思います。

今回のライヒスビュルガーの事件も、こうした社会背景が少なからず影響しているのではないかと思います。