光熱費の高騰が予想される冬

電気代が上がる

ロシアのウクライナ侵攻を受け、EUはロシアに経済制裁を実施しました。その結果、ロシアはドイツを経由している天然ガスのパイプラインでの供給を大幅に減らしています。ドイツはこの冬のエネルギーの確保に走っていますが、燃料不足になるのは間違いなさそうで、市民の生活にも大きな影響が出そうです。そして、ドイツからガスを買っているスイスも他人事ではなく、影響を受けます。

実際に来年の電気代の値上げは必至で、各カントンによって上げ幅は違うようですが、光熱費の追加請求が来年以降来るものを思われます。早いところでは、管理会社からすでに値上げの知らせが来ているそうで、管理費用に上乗せされるようです。

各カントン(州)の予想上げ幅例

ベルン:+20%

チューリッヒ:+26%

シャフハウゼン:+25%

バーゼルシュタット:+12-15%

バーゼルランド:+42-50%

ルツェルン :+23%

アールガウ:+25%

ニトヴァルデン:+4%

グラウビュンデン:+13%

全てのカントンを出していませんが、各カントンによる差が大きく、計算方法も多少異なるためばらつきがあるものの、バーゼルランドのエリアはかなりの上げ幅になります。これも一軒家と賃貸などで変わってきますが、光熱費の上昇は避けられません。

レストランなども死活問題

パン屋さんやピザ屋さんのように、電気やガスの使用率が高いお店は、すでに光熱費が上がっていて、このままいくと商売ができなくなるという深刻な状況なお店も出始めているようです。コロナで営業を自粛され損害を被った後は、エネルギー問題の影響を受け経営が行き詰まる可能性があるとなると、泣きっ面にハチです。

また、工場などの大きな施設でも、製造ラインを稼働させるために、相当のコストが上乗せされ、今後商品価格にも影響が出てくるのではないかなと思います。すでに小麦不足などで、パンや穀物類の商品は値が上がっていますし、今後スーパーにある商品も多岐にわたり価格が上がるでしょう。すでに同じ値段で内容量が減っていたりしますので、これからどこまで上がるのが不安です。

ドイツへの買い出しもメリットが薄くなりつつある

お隣のドイツやフランスに買い出しに行くスイス人にも影響が出ていて、商品価格の高騰により、価格差のメリットがだいぶ減ってきています。この半年でも、食料品や日曜雑貨品など、既に10%から20%近くは上がっていると感じます。商品によっては、ほとんどスイスの価格と変わらないものも。それでも、免税となる場合は、まだスイスよりも安いわけで、今後しばらくは、スイス人の買い出しツーリストは減らないと思われます。

EUやスイスも中東方面などを見据えて、独自にエネルギーの確保に奮闘していますが、停止を決めたはずの火力発電の再稼働をドイツは予定しています。

次の数年間は、我々の生活に影響が出てくるのは必至で、コロナパンデミックが収まっても問題が山積みです。こうした際の国の方針や政策決定は非常に重要になってくると思います。