スイスの運転免許、オートマ限定でもマニュアル運転可能に

スイスの運転免許証

スイスには日本のような自動車学校はなく、自動車免許取得の練習スクールのようなどちらかというと学習塾っぽいところで申し込んで、運転練習を路上で行います。もちろん教官が横に乗りますが、だいたい家まで迎えに来てくれるようで、そこから教習のスタートです。車にはいわゆる教習中の『L』マークのステッカーを貼って走ります。練習には時間が必要ですので、家に車がある家庭は、親に横に乗ってもらい練習することが多いようです。

一応日本の仮免許でも、隣に親など運転歴の長い人が乗れば、仮免のステッカーを貼って運転練習可能ですが、自動車教習がいきなり路上のスイスで、本人はともかく周囲を走る車も緊張気味になり、『L』マークの車を見かけたら、距離をおいて運転します。

オートマ限定でもマニュアル車運転可能に

そんな中、昨年からオートマ限定の免許証でもマニュアル車を運転できるように法改正がされました。最初は見間違いか聞き違いとおもったのですが、下記のようにちゃんとそう書いてあります。

https://www.srf.ch/sendungen/kassensturz-espresso/automaten-fahrschueler-fahren-handgeschaltet-gefaehrlich-2

法改正されて、2019年の3月からオートマ限定の免許保持者でもマニュアル車の運転が可能になりました。これについては、各業界からも危険だという声があり、自分も理解できません。間違った決定を政府がした気がしてなりません。

賛成派の意見としては、自動車業界は、電気自動車にシフトしており、オートマ限定の免許所有者が、わざわざマニュアル車を運転することはまれだろう。その上、運転する機会があったとしても、慎重に運転するだろうから、危険は回避できる。という首をかしげるような内容も。

だったらマニュアル車の運転を許可しなければ済むはずですが、長年マニュアル車を運転して来たものとしては、マニュアルの運転技術がないオートマ限定免許所有者がマニュアル車を運転するのは、無免許運転と同等じゃないかなと思います。それほど、車を動かす手順が違うということ。オートマはほとんどゴーカートのようなものでしょう。技術的には練習すれば子供も動かせます。しかしマニュアル車は、エンストして一向に走れないのが関の山です。

クラッチの仕組みを理解する必要はないですが、坂道発進など経験がない人は無理でしょう。坂道発進は自動車学校でも一番の難関でした。もっとも、最近の車は、マニュアル車でも、坂道でほとんど下がらないように改良されていますが、クラッチが入るかは別問題です。

アメリカではレンタカーは全車オートマ

今の所、この法改正によりマニュアル車を運転して事故を起こしたというニュースは聞きませんが、遊び半分で路上で試してほしくないのは、他のドライバーも同じでしょう。ちなみに、アメリカでは、レンタカーは全てオートマです。その理由は、マニュアル車は、運転技術がないとできないからです。誰でも動かせて、遠くまで移動できるのがオートマ車ということで、違いははっきりしています。

スイスでは、まだまだマニュアル車のレンタカーも多いですし、自家用車のマニュアル車の割合もかなり高いです。少し時間が経つニュースですが、改めておかしな法改正だなという気がしています。