フランスの暴動

17歳の少年が警官に射殺される

先月の末、27日に警官が車を運転中の17歳の少年を止めて検問中、急発進させて逃亡を図ったため発砲し射殺しました。

動画を見る限り、警官に銃が向けられたわけでもなく、検問中に既に銃を向けています。そして、車が動いた瞬間に少年の胸を目がけて発砲。

その後、少年は死亡しています。

この警官の射殺行為に対して、フランス国内では暴動が起きています。

既に三千人以上が拘束されていますが、その拘束された人たちの年齢層は平均17歳と言われていて、まさに射殺された少年の同世代。

青春真っ只中の世代が今回の暴動の中心になっているわけです。

車が燃やされたり、市長の家が襲撃されたり、かなりの規模の暴動になっています。

スイスでも、ローザンヌやフランス国境の街で騒ぎを起こしているグループがいたそうで、明らかに近隣にも飛び火しています。

ドイツ語圏のバーゼルでも、フランスに乗り入れるトラムの運行を週末は停止していました。

フランスの溜まりに溜まった、日頃の不満

死亡した少年は、アルジェリアからの移民の子でした。

フランスがたくさんのアフリカ系の移民を受け入れているのは言うまでもありませんが、現在でも差別の問題はなくなりません。

また、今年初めには、フランスの年金改革に反対する大規模なデモも起きていて、経済格差の問題も含め、フランス国内の不満は溜まりに溜まっていると言えるかもしれません。

暴動に便乗して政府に反対するグループもいるそうで、さらに拡大しています。

黒人射殺による暴動や略奪はアメリカでも

今回のフランスの暴動を見て、アメリカの同じく警官による黒人殺害事件の後の暴動を思い出しました。

非常に根深い問題ですが、フランスは多くのアフリカの国を植民地にした背景もあり、同じ言語を話す人たちがたくさん移民として住んでいます。

アメリカでは、奴隷制度の過去が暗い影を落としており、歴代の大統領の家系を遡ると、ほとんどの家系が奴隷を所有していたと言う話もあります。

日本人にとっては、なぜここまでの暴動になるのか、なかなか理解が難しいですが、黒人差別の問題の根深さをあらわしています。

スイスでも、フランス語圏はアフリカ系の移民の人が多いので、ドイツ語圏とはまた雰囲気が変わります。

夏休みシーズンにも影響

夏休みに入り、フランスにバカンスで出かける人も多いと思いますが、町の中心部や危ないエリアには近寄らない様に、在スイス大使館からも注意喚起が出されています。

せっかくの旅行ですが、現在のフランスではこの様な大規模暴動がどこで起きるかはわかりません。

巻き込まれない様に、注意した方が良いでしょう。

フランス行きの電車の運行停止や旅行のキャンセルも出ているので、夏の観光業にも影響が出ています。

安全情報を確認の上、フランスに旅行される方は十分に注意してください。