ロータリー式(ランドアバウト)交差点について

*画像参照:名古屋市

ロータリー式交差点の導入

 スイスはもちろん、欧州では当たり前のロータリー式交差点ですが、日本でも導入をしている県があるということは数年前知りました。全国で100箇所ほどあるそうです。そして最近になり都会での導入例として、名古屋での導入例が記事となっていました。名古屋市役所と名古屋城の付近ということで、比較的街の中心であり、道も広めの場所ではないかなと思いますが、交通量も多いところです。果たして都会の人はこのシステムに慣れるのか?実験的な側面もありますが、個人的には慣れてしまえば便利なシステムです。

交差点のルールと優先順位

 ロータリーやサークルなどいろんな言い方をされますが、日本ではラウンドアバウトと言われているようです。この交差点のルールは、サークル内を走っている車が優先で、車が来なければ、サークルに入ります。その時点で、直進なのか左折なのかは決まっているはずですが、慣れていないと迷う人もいるようです。自分が初めて利用した時のことは全く記憶にないので、ごく自然に周りの車の流れに乗って走行できたのだと思います。うまく車が流れていれば特に問題はないです。
 ただし、タイミングが合わずにサークルに入れない人や、サークルから出るタイミングを逃し、慌ててハンドルを切って歩道脇の花壇に突っ込んでいた車を目撃したこともあります。また、自転車もこのサークルに入るため、ドライバーは注意が必要です。写真を見る限り、日本でも自転車用のラインが引かれていますが、巻き込みなどの事故にも注意しないといけません。

信号機がないので渋滞緩和にもなる

 信号機が不要なので、渋滞の緩和にもなりますし、交差点の信号機の設置などのコストも省けます。スピードの出し過ぎにも効果があり、サークルでは減速しなければなりません。その分優先順位を無視して、無理に割り込んでくる車も当然いますし、ウィンカーを出さずにサークルから出て行く車もいます。スイスの場合、サークルは左回りですので、左折の場合は、サークルの中央に沿って左に曲がりながらウィンカーを出して、外側に出て行きます。日本だとこの逆です。右折の場合は、ウィンカーを出し、通常の交差点通りの右折です。直進の場合は、ルールでは、外側にそってサークルを走り、出て行きます。
 優先順位とタイミングを気をつければ、問題はないですが、サークル内の車や自転車に気を取られ、出る際に横断歩道の歩行者に気がつかないこともあります。また場所によっては、サークルの入り口と出口が2車線になっていたりして、優先順位を戸惑うこともあります。

日本の交通事情に合うか?

 欧州に限らず、海外で運転をしていると日本人は比較的運転が上手だと感じますので、日本でもこうしたシステムにはすぐに慣れるのではないかなと思いますが、長年運転してきた高齢者には不向きな気もします。そもそも運転技術とマナーの良し悪しは別ですので、せっかく渋滞を緩和できるシステムでも、譲り合いをしなければ、意味はありません。

スイスでは日本が唯一の運転免許書き換え可能な国

 アジアからスイスに来た場合、日本の免許証だけがスイスで提出書類に翻訳をつけて、そのまま書き換えて運転できます。筆記試験も技能試験も免除です。ただし移住してから1年以内に手続きをしないとダメです。他の国の方々は、自国で運転免許を所有していても、スイスで自動車学校に通って試験を受け、免許を取得しなければいけません。仕事や出張の人は、この心配はないですが、やはり左右が逆なので、最初は戸惑うでしょう。前後に車が走っていれば、流れに沿って走行できますが、周囲に車が走行していなくて、右左折の際に反対側車線に入るなんてことも実際にあります。ウィンカーとワイパーも逆です。

運転中の合図

 
 また、日本では道を譲ってもらったりした際に、ハザードを点滅させて、「ありがとう」とサインを出しますが、欧州ではほとんど見ません。ごく稀にハザードを出して例をいうドライバーがいますが、それがスイス人なのかは不明です。もしかすると何処かの国では定着しているのかもしれません。あとは対向車に道を譲った際、パッシングをして礼を言う人もたまにいます。通常パッシングのサインは、「先に行け!」と言う合図になるので、「ありがとう」とはなりませんが、合図の出し方も様々です。ただし後ろからのパッシングは明らかに文句ですので、注意が必要です。
 欧州は陸続きのため、毎日いろんな国の車が走っています。日本では考えられないことです。そのため、運転レベルも様々で、イギリスや北欧からの車も見かけます。イギリスの車はもちろん右ハンドルですので、走行中に車線のどちらかに寄りすぎたりしているので、少し違和感を感じることもありますが、駐車場でのチケットを取る際などは、きっと面倒だろうと思います。

 ラウンドアバウトの話に戻りますが、新しい交通ルールということで日本でも定着すれば、海外からの観光客も車での旅行が快適になります。世界でも評価の高い日本の自動車産業。交通ルールでも最先端を行ってほしいところです。