スイスの飼い犬


スイスでは犬を飼っている人が実に多い。しかも、躾ができている犬が多いと、スイス国外から来た人は口にする。確かに日本から来た家族も感心していた。

 しかし、今まで義務付けがされていた、新しく飼う犬のしつけコース義務化がなくなり、各自治体に対応を任せられることになった。
これについては以前記事を紹介した。
犬のしつけコース義務化を廃止

 あれから1年ほど経つが、やはりしつけコースの義務化の声は根強い。実際に筆者も犬を飼っているが、つい先日、散歩中にいつも会う犬が、他の犬に突然襲い掛かり、大事になりかけた。飼い主が慌てて引き離したが、襲われた犬は、飼い主の制止を振り切って、走り去ってしまい、そのまま道路を渡り家まで帰ってしまった。車との接触事故を起こしかねないので、非常に危険だ。その上、飼い主の女性が高齢だったこともあり、突然のことにびっくりして神経をすり減らしたに違いない。人の犬とはいえ、目の前で起きたことに、こちらまで冷や汗をかいてしまった。
 幸い、事故もなく家の前で飼い主が来るのを待っていたそうだが、この襲いかかった犬はどう猛な大型犬ではなく、小型のジャックラッセルテリア。普段は遊び好きで、とにかく走り回り、元気な犬で、ほとんど吠えたりもしない。しかし、自分より小さい犬、気の弱そうな犬が来ると、突然襲いかかるという状況が度々起きているそうだ。これには飼い主も頭を悩ませていた。
うちの犬ともよく遊び、しつけはできているように見えるが、何かのきっかけで変貌する激怒症タイプの犬なのか、時期的なものなのか、なかなか難しい。犬にしてみればただの遊びなのかもしれない。
これに限らず思うのは、どんなに躾された警察犬のような優秀な犬でも「絶対」はない。うちの犬は大丈夫というのは、まずないと思っていいだろう。一度も噛んだことがなくても、ちょっとしたことで犬が怒れば、どんな行動をするかはわからないのが事実。

 リードなしで散歩している人も実に多いが、車や自転車の来ない原っぱでは良いとしても、車の走る大きな道路の脇でもよく見かける。実際に、長年犬を飼っている人でも、過去に放し飼いで散歩させて、車に轢かれて犬を死なせてしまった人は多い。道路の反対側で、何か興味を引くものを見たら、走っていってしまうのだ。もちろんその状況でも言うことを聞く賢い犬も多いが、「絶対」はない。

 リードについては、飼い主同士の暗黙の了解のようなものがあり、散歩中に相手の犬がリードに繋いでいたら、自分もリードをつけるというようにお互いが理解している。人が多い場所や車の往来が激しいところなどでは、リードをつけるのは当然のマナーだと思うが、犬同士をコンタクトさせたくない飼い主もいるし、怪我をしている犬、手術したばかりの犬、老犬で遊べない犬、いろんな理由で他の犬から遠ざける飼い主はいる。
そうしたことを理解するには、やはり飼い主同士のコミュニケーションも大事になる。どんな犬なのか、何歳なのか、何が嫌いなのか。犬が相性が良いかも話をしていれば大体わかるし、犬同士の様子を見れば一目瞭然だ。

それにしても、最近気がついたことがある。近所の犬たちの名前はほぼ把握しているのに、飼い主の名前をほとんど知らない。