スイスのスーパーマーケットの業界にとって、2008年は外国のディスカウンターが参入し変化があった年。先日スイス大手のミグロとCoopが2008年の業績が好調、記録的な売り上げ高を発表した。金融危機の影響は年内には出なかったと見るが、やはり、新たに参入したディスカウンターの存在も無視できないだろう。ディスカウンターの参入によりほぼ独占だったミグロとコープに、プライベートブランドの値下げや、つい先日のCoopの商品値下げの戦略にも表れている。

 特にドイツ系のスーパーが参入しているが、実際にドイツのディスカウントスーパーに行ってみると、同じ商品がスイス価格の半分近いものも少なくない。国境境のスイス人は昔からドイツへ買い物に行くので、価格の違いを知っている。安いだけではなく、税金の還付が受けられる。食品や本などを除いてドイツは19%の消費税。大量に購入すればそこそこの額が戻ってくる。昨年後半ユーロが暴落し、ドイツからは遠方のスイス人までドイツに買い物に来たのにはうなずける。
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 そんなドイツの得意とするディスカウントマーケットのひとつLIDLが、09年スイス市場に新たに参入する。ALDIと並んでドイツではポピュラーであり、販売スタイルもよく似ている。生活雑貨や時には限定でPCなども販売する。極めて質素な商品陳列と店舗空間がスイスの消費者への不安材料ではあったが、今では先駆者ALDIのおかげで取り払われた。
スイス人もそれほど気にしなくなったようだ。まだホームページ上では支店の掲載がされていないが、現在準備中の店舗もいくつかあるようなので、興味のある方はチェックして見てはいかがでしょうか?
http://www.lidl.ch

 世界的に落ち込む経済の波は、すぐには引きそうに無く、特に欧州は企業の決算期が年末のため、これから本格的な打撃が出てくると予想する人もいる。そんな不況下においても、必ず強い企業がいるのもだが、これらディスカウンターがその企業となるか、もしくは、スイス市場に新たな風が入り、ピンチをチャンスに変えて更に強いスイス企業と進化するのか注目したい年ではある。

 いずれにせよ、庶民の財布の紐は硬い。価格が下がる事に文句は出なさそうだ。