イタリア語圏ワイン

イタリア語圏ワインはそのほとんどがティチーノ州のワインで、それと
同州に接するミゾ地区と呼ばれるグラウビュンデン州のほんの一部がイ
タリア語圏ワインに含まれる。スイスワイン全体からのイタリア語圏ワ
インの生産比率は7%で、少ない様に見えるが、州別の生産比率でみる
と、1位ヴァレー州、2位ヴォー州、3位ジュネーブ州に次いで、ティ
チーノ州は第4位についている。

主なブドウ品種はメルロで、黒ブドウのメルロから赤、ロゼ、白、ス
パークリングまで作っている。ボンドーラという地ブドウもあり、それ
からふくよかなワインが造られているが、地元で消費されてしまい、ス
イス国内でさえ流通していない。

ティチーノ州は州の水系を2分するチネリ山を境にして、ベリッツォー
ナ、ビアスカ等が位置する北部のソプラチネリ、ルガーノ、メンドリー
ジョ等が位置する南部のソットチネリに分けられている。ソットチネリ
の土壌が、フランスのボルドー地区で特にメルロー種に適した土壌を持
つポムロールと同じであることから、ポムロールワインに似たワインが
生産されている。北部のソプラチネリは土壌にミネラル分を多く持ち、
ワインもミネラルを含み、長い熟成の後に本領を発揮するワインが造ら
れている。

この他、接ぎ木のために北アメリカから輸入された、アメリカーノ種か
らも少量だがワインが造られており、巨峰に似た独特な香りを持つワイ
ンとして地元で飲まれている。ティチーノ産のグラッパにも良く用いら
れている。