世界的に騒がれている食糧不足で、食物価格の高騰が連日報じられている。アメリカの大手スーパーでは、市民が米の買占めに走り、1人あたり何キロまでという制限を設けたところもある。

 スイスも例外ではなく、大手スーパーのMIGROSが、5月から、10%から20%の米の値上げを発表している。米の収穫地は90%がアジアで、一部の国では米不足によって、輸出を抑える動きも見られるため、欧州まで十分な量が届かないと見られる。そのため、アジア以外の国、イタリアやスペイン、南米までにも米の供給先を探している状態だ。

 一方、同じく大手のスーパーCoopは、値上げをせず、まだ今後の動きを見てから判断するという事だが、値上げがないとは言えない。

 しかし、今回の食糧不足、特に米に関しては、決して収穫量が少ないわけではなく、不足分の割合に対して、価格高騰率が高いのではとも言われている。特に米を主食とするアジア圏では、高騰率は欧州よりも高く、米泥棒や米の輸送車襲撃も起きている。誰かが買い占めてしまうと暴動になりかねない。

 そもそも食糧不足の原因は、原油高騰のために、バイオエタノールという資源に食物が使われているため、食物危機が起こるという構図がある。そのために食物の価格高騰が起きているが、実際に食物が不足しているのかは疑問だ。

 アジア圏はともかく、欧州に供給される米の量がしばらく減る事は避けられないため、価格高騰は致し方ないが、貧しい国での価格高騰や一部の業者の買占めなどで、各地に暴動が連鎖的に起きないかが心配される。メディアの報道に煽動されないように判断するのは、なかなか難しいが、米を主食とする我々海外在住の日本人にも当然気にかかる問題なので、今後の動向に注目して行きたいと思う。