近隣国へのショッピング、免税額引き下げ議論

300フランから150フランへ引き下げ検討

度々議論になる近隣国での買い物に対する免税措置ですが、金融相は、この免税額を引き下げたい意向です。

現在は300フランまでが免税で、隣国の消費税の還付を受けられますが、これを150フランに引き下げるとのこと。

しかし、引き下げたところで、買い出しに行く回数が増えるだけだという人もいます。

この隣国でのスイス人の消費額は毎年相当なものになっており、スイスでの消費、税収にも当然影響があります。

隣国も50ユーロ以下の買い物に対しては、免税措置をしないと最近になって規則が変わっていますし、スイス側だけの問題でもないようです。

国境際の大型スーパーやショッピングモールは、スイス人の買い物客の消費で持っているところが多く、この顧客を逃すと売り上げに影響が出るため、スイス人への免税措置には甘い訳です。

実際にコロナパンデミックで国境が封鎖され、往来に制限が設けられた時期は、売り上げが落ちています。

課税申告をしない人も

少額であれば、免税の申し込みをしない人も多いでしょう。しかし、大量に購入して隣国の免税を受けたにもかかわらず、スイス側の課税を逃れようと、申告せずに入国する人もいます。検問で引っかかって見つかれば罰せられます。

食料品や日用品に関しては、もういっそのこと免税措置をやめたらどうか?という声もありますが、これはスイスだけの判断ではできません。

商品によっては、免税措置を受けなくてもスイスでの販売額より安いものが多くあります。

そもそも、こうした隣国への買い出しが多いのは、スイスの物価が異常に高いのが理由で、顧客を逃したくなければ価格を下げろという声もあります。

ここ数年で物価は上がり、低所得者層の生活は苦しくなっています。

健康保険の値上げや自動車税、ありとあらゆるものが高くなっている中で、隣国への買い出しはさらに進んでいます。

スイスの場合は、賃上げもしていますが、物価や家賃、保険料の上昇率の方が高くなっています。

隣国で買い物をして、税金を払わずに生活用品や食料品を手に入れることが、お互いの国にとってもフェアじゃない気もします。

陸続きの欧州の場合は、こうした国内経済政策だけでは対処できない問題も多いので複雑です。

日常生活の負担を減らすことができれば、スイス国内での消費も増えるだろうと思います。