コロナ証明提示義務の拡大、2021年9月13日(月)から

ワクチン接種の強要だとデモ行進

この決定をした日の夜には、スイスの国会議事堂のまでには1000人あまりのデモ隊が集結し抗議をしました。自由を奪うな!ワクチンを強要するな!といった感じで、スイス政府の決定に批判的です。ワクチン接種は個人の自由であるにも関わらず、この感染防止対策を読めば、残された選択肢は無料ワクチン接種しかないのはおかしい!実質強要されているのと変わらないということです。職場や学校でもワクチン未接種者に対する風当たりが強いとも聞きます。

ワクチンを接種しない人がレストランに行くには、毎回コロナ陰性検査が必要で10月から有料となります。イベントや結婚式に出たい場合も余分にお金がかかります。つまり無料で済むワクチンか、コロナに感染して回復した場合のみ無料でコロナ証明を取得できるので、不公平に感じる人も多いようです。

病院が逼迫している状況で、自由やお金の問題ではない

しかしながら、なぜこのような感染防止対策を強化したのかは、新型コロナの変異株感染者が増加中で、病院の逼迫した状態を改善したいからです。医療現場のスタッフは、昨年同様すでに悲鳴を上げているところもあります。そして、コロナに感染した重症患者の90%がワクチン未接種ということから、スイス政府は割と厳しめの措置をこの段階で出していきたのだと思います。

そして、もう一つはロックダウンを回避したいという理由もあります。確かにコロナ証明提示を義務化すれば、飲食店などの確認作業という負担が増えますし、キャンセルも出ることになるでしょう。それでも、昨年のロックダウンで長い間苦しんだ飲食店にしてみれば、営業ができること自体ありがたいという経営者もいます。お店が営業できて、コロナ証明を持ったお客さんが食べに来てくれるのであれば、それはロックダウンとは比較になりません。経済活動をできる限りストップさせないという意味も大きいと思います。

ドイツやフランスでは、すでに飲食店等のコロナ証明提示義務は導入されていて、スイスは100万人あたりの感染率が隣国よりも高いにもかかわらず、コロナ証明提示は実施されていませんでした。マスクについても、不織布マスクでなくても入店できますが、ドイツでは不織布マスク着用の人しか入店できません。

感染者数が減って、ワクチン接種率ももっと上がればこうした規制も緩和されるでしょう。しかしながら、これから長い冬が始まることを考慮し、スイス政府は年明け1月までの長期間、このコロナ証明提示義務の実施を決めたようです。

参照:https://www.bag.admin.ch/bag/de/home/krankheiten/ausbrueche-epidemien-pandemien/aktuelle-ausbrueche-epidemien/novel-cov/massnahmen-des-bundes.html