街中の飲食店の様子とプロテスト

*写真のこの橋の下を抜けると数軒のレストランが並び、人だかりができていました。

飲食店の規制緩和が見送られ

スイス政府は金曜日、コロナウィルスの変異株の感染拡大を考慮し、飲食店の再開は見送りました。飲食店は引き続きテイクアウト+デリバリーという形の営業です。バーゼルのライン川沿いには、飲食店も立ち並びます。週末に用事があり、ちょうどそこを通ったところ、3軒ほどある飲食店では、テラス席の端にテイクアウトのコーナーを設けて、ビールやピザなどの販売を行っていました。すぐ目の前のライン河沿いの川縁には、いつも通りたくさんの人たちが座って日光浴を楽しんでいましたが、それに加えて、ビールを片手に楽しむ人たちで賑わっていました。結構な混雑具合です。
立ち飲みのお客さんも大勢いて、その状況はレストランのテラス席が満席の状態とほぼ同じか、歩行者も含めるとより密集している感じでした。

飲食店の営業規制は、色々な業種の中でも厳しい規制が設けられているため、テイクアウトやデリバリーといった形で食いつないでいます。もちろん、その状況では普段の売り上げとは程遠く、政府の補助金と合わせても足りないはずです。それゆえ飲食店が可能な限り利益を得ようとするのは当然です。一応ルールに基づいてテイクアウト販売している以上は、お店の周辺があれだけ密集していても批判はできないかもしれません。

小売店が営業再開したこともあって、より多くの人が街に出ている週末です。見かけた飲食店は、街の中心部でライン川沿いという好立地の飲食店ですので、他のレストランに比べても集客には有利でしょう。郊外に行けば、なかなかその数のお客さんが来ることもないですから、恵まれているのかもしれません。

Liestalでは5000人から6000人規模のデモ行進

バーゼルの街中は至って穏やかな雰囲気でしたが、郊外のLiestalでは、同日5、6千人規模のデモが行われて、警察も出動したようです。マスクをしていない人もいて、警察との衝突もあったようです。このデモは、スイス政府に対するコロナ対策全般の不満が爆発しているようで、飲食店の規制に限らないようです。
こうしたデモは、バーゼルに限らず、他の都市でも起こっていますが、今回の規模はかなり大きかったようです。おそらくは、事前に飲食店のテラス席を開放する案が出ていたのに、結局されなかったこともあるでしょう。他の業種が営業再開したのに、飲食経営者の我慢もそろそろ限界かもしれません。

スイス政府側としては、イースターまであと少しの我慢という考えでしょうが、商売をしている人にとっては1日1日が死活問題であることは変わりありません。しかしながら、欧州の各国の状況を見る限り、コロナ変異株の感染拡大が顕著ですし、やはりこの時期に一気に全てを通常に戻すことはリスクが伴います。コロナワクチンも申し込み受付が始まって少し経ちますが、実際の日程は不明なところも不満の原因でしょうか?
とにかく、全国民に平等な対策はないというところが、スイス政府の対応の難しさでしょう。経済をとるか、健康をとるか。医療従事者の負担も考えて、もう少し我慢するしかないのかもしれません。いつどこで自分や家族が感染してしまうかは、誰にもわかりませんので。