アジア人差別について

アメリカでの事件から

世の中が不安定になったり、景気が悪くなると、やはりその矛先は外国人に行く傾向があります。それはもう昔からのことですが、現在はまさにコロナパンデミックで、世界中不安定な状態です。アメリカでは、先日マッサージ店が襲撃され、アジア人が6名も亡くなりました。アジア人差別だと言われていますが、そのような狂った行動をする人間に、まともな理由など持ち合わせてはいないでしょう。

アメリカでは、昨年黒人差別の問題がクローズアップされ、世界中に差別反対のデモ運動が波及しました。ここスイスでもデモは起こっています。外国人として暮らすということは、観光旅行では経験できないことがたくさんあります。その中には、やはり差別がどうしても入ってきます。スイスでも、アジア人蔑視のジェスチャーをされたり、コロナと言われたり、トラムで消毒液をかけられたなんて話も聞きます。

悪ふざけでは済まされないことがやはり起きていて、モラルの低下や根が深い差別意識がおもてに出てきます。差別した人物が特例できれば、訴えを起こすこともできますが、通りすがりに言われた差別発言では、なかなか難しいかもしれません。

多くが認識していない差別意識

自分が自国の人間で、外国人と一切接しない生活を送っている人は、差別についての認識が低いことが多々あります。よく言えば悪気はない、悪く言えば無知であることが多く、言葉の端々に、相手をさげずむ言い回しや言葉遣いをしている人は多いです。特に、郊外の田舎へ行くと、スイス人同士でも差別が存在します。いわゆる村八分のようなことですが、他の町から移住してきた人間を村社会では受け入れないといったことも起こります。そこに外国人が入って行けば、当然のように阻害されます。

スイスでは2割以上が外国人と言われていますが、先日の国民投票のように、イスラムのブルカ着用禁止など、僅差ではありましたが可決されてしまう国です。根強い差別意識があるといってもいいでしょう。外国人移住者が増えて、脅威を感じるのはどこの国も同じでしょう。だからと言って、差別をしていい理由にはなりません。

スイス人と集まって話をしていると、外国人の素行や生活週間について文句をいう人がいますが、「私も外国人ですが?」というと、「いや、あんたは日本人だろ。俺のいう外国人とは違う」という風に返されることがよくあります。それを言われても、なぜか喜べません。差別はしないが、区別はしているということで、もう一方では、他は差別していいと思っているわけですから、受け入れられません。外国人が良いことをすれば、思ったよりいい奴だといい、悪いことをすれば、やっぱり外国人だから、、、となってしまいます。

国籍取得しても

スイスで生まれ育ったあるイタリア人女性が、ようやくスイスの国籍を取得して、うれしくて友人たちに報告したら、皆に笑われたという話があります。生まれも育ちもスイスなのに、国籍を取得してもスイス人として受け入れてもらえなかったのが悲しくて泣いたそうです。

直接経験しなくても、自分の見えないところで、差別はされているかもしれません。もっと寛容な社会になってもいいのかなと思います。ただ、決して差別を怖がることはしないようにと誰かに言われたことがあり、全くその通りだと思います。堂々としているだけで、周囲も態度が変わることがあります。差別する人間には、はっきりと何が問題か聞いてみればいいと思います。おそらく答えられませんから。