スイス連邦議事堂ツアーに参加する

スイスの連邦議事堂へ

 首都ベルンにあるスイス連邦の議事堂は、今年は新型コロナウィルスの影響で、よくニュースでも映っています。中に入るには、厳重なチェックがありますが、議事堂裏に出るとアーレ川を見下ろせ、遠くにはアルプスが見えます。観光客も多く訪れる場所ですが、それほど混み合っているのを見たことはありません。外から見ても立派な建物だと思いますが、やはり内部を見たいという方もいると思います。
 連邦議事堂のツアーは約1時間で、ドイツ語や英語でツアーが行われます。人数が少ない場合は、キャンセルになりますが、このツアーはなんと無料です。

厳重なセキュリティチェック

 筆者が参加したのはドイツ語のツアーですが、自分を含め14名くらいの人たちが参加していました。議事堂の裏手にある入り口で、ツアーの予約がある旨を伝えると、身分証明書を出して待ちます。そして、1人ずつ中に入ります。チェックは空港の入国審査とほぼ同じ感じですが、入り口には警察官が3名ほどいます。身分証のチェックもスキャンして身元を確認し、回転ドアの前で待ちます。
 日本人だとわかったら、「アリガト!」と言って身分証を返してくれましたので、そこそこ日本人のツアー客も来るのでしょう。

2度目のツアー

 回転ドアを抜けると、今度は荷物検査。これも空港と同じです。ベルトや時計も外し、X線検査の枠を潜り抜けます。この後もう一つ回転ドアがあり、中に入るとようやく受付という感じです。すごく静かで、無駄なものがない感じです。涼しくてちょうどよかったのですが、今ツアーは遅刻すると待ってくれません。時間厳守ですので、20分前には行った方がいいということです。
 時間になり、揃ったところで女性のガイドさんが自己紹介をし、スイスドイツ語でいいか皆さんに聞き、オランダ人と思われる人が標準ドイツ語にしてくれと頼んでいたので、標準ドイツ語でのツアーになります。参加者の年齢層は割と高めでした。

 実はこのツアーに参加するのは、2回目ですが、1回目はもうかなり昔であまり覚えていませんので、ちょうどいい機会でした。まずは、スイスの成り立ちの歴史から説明になりますが、この建物は97%の建築材がスイスの財ですが、最も重要な建国に関わった3人の銅像があるのですが、その像だけはイタリアから輸入された石材だそうです。議事堂の中は重厚な感じで、細部まで正確に作られている感じです。

採択を取る部屋

 次に案内された部屋は、採択を取る部屋で、現在はあまり使用されていないそうです。部屋は小さめで、後ろには横に長い絵がありました。スイスを如実に表している絵だそうですが、女性の参政権が認められたのが非常に遅かったスイス。その絵は、まさにスイス建国を決めるシーンですが、女性は絵の中心から外側に描かれています。これを忘れないようにということですが、現在では7人いる大臣のうち3名が女性です。いまでは女性政治家の活躍が目立つスイスですが、意外にも長い間、男女平等とは縁遠い仕組みだったことがわかります。

 
 そして、最後はTVでもよく見る連邦議事堂のホールです。一際目立つ大きな絵は、スイス建国の3つのカントンの湖を描いたもので、ジュネーブの画家が描いたものだそうです。ちょっとした隠し絵のようになっていて、魚や天使がうっすら見えるように描かれています。この細工にひと議論あったそうですが、この画家も頑固で譲ることなく結局描かれたそうです。行かれる方は見てみてください。

 これでツアーは終わりのはずでしたが、おそらくその日の最後のグループだったので、15分ほど延長しホールの外にある、天井壁画の説明も聞くことができました。ツアー中は写真撮影はOKですが、フラッシュ禁止。動画の撮影も禁止。職員の写真撮影も禁止です。


 今年はコロナウィルスの影響で、政治的決断が多くなされているスイスですが、そんな時期でもツアーを無料で行っている連邦議事堂。議事堂の裏手では、ちょうどTVのインタビューも行われていました。スイスの国の成り立ちや、政治システム、多言語な国家であることなど、非常に興味深い国でありますので、行く価値はあると思います。スイスに住んでいるとなかなか行かない連邦議事堂のツアーかもしれませんが、夏休みのお子さんの社会見学としてもオススメです。

国会議事堂ツアーの詳細はウェブから申し込めます。以下のサイト(英語)です。
https://www.parlament.ch/en/services/visiting-the-parliament-building