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日本からの来客


3ヶ月ほど前になるが、日本から欧州へ出張にきていた友人が、合間をぬってスイスまで訪ねてきてくれた。仕事の合間ということもあり、1泊2日、時間にして20時間ほどの滞在だったが、駆け足でバーゼルの街を案内した。その後は我が家に泊まってもらい、スイス料理を食べてもらう感じであっという間に時間がすぎた。

こちらで暮らして15年目ともなると、街を歩いていても、日本から来た彼とは見るところも違うし、いかに気がつかない事が多いのかと思った。
彼にとっては多くの情景が新鮮であり、驚くこともあったようだ。まずはスイスに来る前にいたハンガリーでは、業務用に文房具を多めに購入したということだが、お店では袋にも入れてくれず、レシートをパッと投げるように渡され困惑したそうだ。「ありがとうございました」の声もない。日本の過剰接客+過剰包装の真逆のシチュエーションに困ったといった感じだが、スイスでも店によっては袋が必要か聞かれることもあり、昨今は有料が主流となっている。

一方で、欧州の趣ある古い建物には感銘を受けたようで、ファストフード店などが入る建物も外観はそのままで中を改装して営業しており、街の景観を損なわないようにしている点に歴史のロマンを感じたそう。そして古い地下鉄と新しい地下鉄の乗り換えもうまくできるようにしてあり、古いものと新しいものとの調和がされている点は素晴らしいとの感想。
そして、スイスへの空路、easyjetを利用した際は、日本の会社「楽天 RAKUTEN」の広告がシートにあるのを発見し、驚いたとのこと。

スイスのバーゼル空港に迎えに行き、駐車場を歩いていると正面からフランスの警官が武器を装備した物々しい格好で1列になって歩いて来た。(ちなみにバーゼルの空港はフランスの国境界にあり、厳密にいえば敷地はフランス領土である。)この光景も日本では見ることがないだろうと思うが、ちょうど数日前にフランスでのテロ未遂があったということで、各地の空港では警戒態勢が敷かれていたようだ。偶然だが、小さな空港での警備体制にも驚いたようだ。

街中では徒歩での散策。その日は思った以上に寒く、軽装だった友人は途中で上着を買うことになるが、春先の天候は不安定なのも欧州なら仕方ない。旧市庁舎、教会、カフェなど、一瞬でもバーゼルの人たちの日常に足を踏み入れた経験は、いろんな面で印象的だったようだ。
例えば信号機は、赤から青に変わる際、間に黄色が点灯し、レースのスタートのようだったとか。言われてみれば、そうかも知れない。ちなみに日本では信号を「青」と言うが、こちらでは「緑」。確かに日本の信号も緑に近いのになぜに「青」というのか?日本人は色盲か?などと冗談を言ってくるスイス人もいて、言われないと気がつかないことは多いものだと改めて痛感。

我が家へ移動する前に、デザートを買ったが、ここでも箱に入れてくれたスウィーツ類をそのまま手渡しされて、手提げ袋もないまま当たり前のように店を出て行く自分を見て、「あれ、袋もらえないの?」という彼の素朴な疑問も当方にはある意味新鮮だった。日本はつくずく過剰包装なのだと思い出した。

そして、観光ではまず行かない郊外の住宅エリアは、彼にとっても新しい空間だったかもしれない。まあ、特に珍しいものがあるわけではないが、観光客が足を運ばないエリアはそうそう目にすることもない。普段のローカルな生活エリアを歩くというだけでも、新鮮な空気が感じられたりする。

そして、夜は少し時期外れではあったが、スイスのラクレットを食べて頂いた。食後間髪を入れずデザート。これもまた、日本の人には慣れないタイミングかもしれないと思った。自分もスイスに来た当初は、食後、あまり時間を空けずにデザートが出るので、すぐには手をつけられないほどだったのに、今では食後にすぐデザートが出ても、問題なく食べられる。
肝心のラクレットは気に入ってくれたようで、後日、ラクレット用のオーブンを見つけ購入し、百貨店でチーズを購入し楽しんでいるとのこと。最近ではスーパーでもチーズの種類が増えたそうだが、日本では本場のチーズは高価である。もちろんスイスでも安くはないが。

こうして、日本からの来客は翌朝の便で戻って行ったが、アジア、アメリカ方面の海外経験が豊富でも欧州はやはり違った印象だったようだ。
もし子供を留学させるなら、アメリカよりもヨーロッパの方が視野が広がるように感じたそうだ。
働き方についても、日本もスイスに習えるところはあるだろうと言う。環境が違うので、そのまま日本で通用するわけではないが、もっと多様性に富んだ働き方、そして生活水準の向上に繋がれば、いろんな意味で生産性も上がるだろうと感じたそうだ。

来客は常々普段の生活に軽い刺激を与えてくれる。そして、これだけの短時間で見ているもの、感覚の違いに気がつかされた。
また次の来客が楽しみである。