スイスワインを定義すると、スイス以外ではなかなかみかけない、スイ
スのブドウ畑から収穫され、醸造されたワインで、多くは山間部で大変
な手間と手摘みによって手作りされたワインといえる。赤、白、ロゼ、
スパークリングと作られている。辛口から甘口まで色々な種類のワイン
がある。

特筆すべきは、スイスの全ての州でワインが生産されていること。隠れ
たワイン天国だ。ほぼスイスの公用語、フランス語、ドイツ語、イタリ
ア語の使われる地域別でワインの特徴が異なる。因みにもう一つロマン
シュ語という公用語があるのだが、これを話すのはスイス人口のわずか
1%で、グラウビュンデン州の山間部で使われている。そのため、ロマ
ンシュ語圏産のワインは造られていない。

フランス語圏ワイン

フランス語圏ワインは、シャスラぶどうを使った白ワインが中心。しか
しヴァレー州では赤ワインの比率が高くなっており、同州ではウマー
ニュ・ルージュなどの地ブドウを使った、高品質な赤ワインが作られて
いる。同州には地ブドウが多く、栽培葡萄品種は主なものでも31種類
あり、ワインが造られている。スイスの地ワインの宝庫だ。

フランス語圏の主要なワイン産地は、ジュネーブ州、ヴォー州、ヴァ
レー州、ヌーシャテル州、フリブール州、ベルン州ビール湖岸。フラン
ス語圏のワイン生産はスイス全体の76%に登る。フランス語圏ワイン
がスイスワインの顔だとも言える。

特にヴォー州のレマン湖沿いの地区が注目されており、ローザンヌから
モントルーのレマン湖沿いに広がるラヴォー地区は世界遺産にも登録さ
れている。ヌーシャテル州ではピノ・ノワールから作られるロゼが評判
で、ウイユ・ド・ペルドリ(山鶉の目)と呼ばれている。ヴァレー州の
フィスパーターミネンのブドウ畑はヨーロッパ一の標高にあり、地ブド
ウのハイダが植えられている。