スイスワインはあまり知られていない。しかしスイスはれっきとした
ヨーロッパのワイン生産国で、原産地統制呼称を持つ高品質なワインを
生産している。何故、スイスワインはあまり知られていないかという
と、主な理由は二つあげられる。

スイスは日本と同じく山国で国土の7割以上が山地となっている。従っ
て、ブドウの栽培面積も限られたものとなっており、スイス国内で生産
されるワインの量より、消費されるワインの量が上回っている。すなわ
ち、ワインを生産しても消費に追いつかず、足りない分は輸入に頼って
いるわけだ。

スイスワインの多くは地域内消費の市場に依存している。また少ない耕
作面積を最大限に利用するため、山間部の急傾斜地にブドウ畑が開拓さ
れている。この様な理由から機械化や大規模化が進んでいない。そのた
め小規模醸造家が多く、手作業でブドウの栽培と収穫を行っている。多
くのスイスワインは輸出商品になれない。

また、この様な事情の為、定評のあるスイスワインはスイス国内でさえ
入手が困難になっている。醸造所に行って入手出来ればいい方で、新規
顧客を取らない醸造所もある。販売は1週間にたった2時間という所も
ある。

スイスワインはこの様な事情でスイス国外に出ることがあまりない。し
かし、スイスアルプスの清涼な水と空気を一杯に吸って育まれたスイス
ワインは、瑞々しくフルーティでとても美味しいものだ。しかもほとん
どのスイスワインはこの様な山間部産のため、手間の要る手入れと手摘
みによる、大変人手のかかった「手作りワイン」なのだ。スイスワイン
は丹誠込めて造られている。

世界中の国の人が一度は訪れたい、住んでみたいとあこがれる国スイ
ス。スイスワインも一度は飲んでみたいという声を沢山聞く。しかし、
スイスワインのどれから飲んでみたらいいの?と尻込みする人も多くい
る。