スイス人の子供との接し方、親との対話、学校

親の接し方

前置きが長くなりましたが、スイス人の親の子供への接し方です。

各家庭で異なるのは承知の上ですが、一般的なスイス人家庭、外国人家庭、日本とスイスの2つ以上の文化に接して育った家庭など、どの環境にも共通することが子供への接し方です。

自分の子供が、これから小学校に入学して、どのくらい勉強ができるのか?賢い子なのか?どんな人格形成をしていくのか?など、親であれば色々と考えを巡らせますが、その時点では、わかりません。

対話

スイスの家庭では、とにかく親と子がよく会話するということです。学校で起きたことや、ニュースで見た事件や事故。大人のテーマでも、子供だからと言って、その話題を避けることなくどう思う?と子供に聞く親も多いようです。

子供も親が自分を子供扱いして話していれば気がつきます。対等ではないなと感じるでしょう。それを感じさせないために、スイス人の親は仕事のことや交友関係のテーマでも子供に話したりします。

日本ではどちらかというと、子供には関係ないといって、大人の話題を子に振ることはありません。

もちろん、そうした大人のテーマのが、精神的に負担になると思えばしない方が良いでしょう。子供の性格にもよりますし、話す内容にもよります。その辺の判断をしながら、スイス人の親は子供とよく会話をしています。

そうすることで、何か学校で問題がある場合も、子供の方からも何でも話してくれるようになります。

こうした会話のやりとりの多さが、「自分でものを考える力」を身につけているとスイス人の親は考えているようです。それが必ずしも学校の成績に影響するわけではないですが、社会に出てからも人と対話したり議論したりする際に、その基礎は役に立ちます。

プレゼンテーション能力

スイスの公立学校では、小学校高学年から、プレゼンテーションをする授業が増えてきます。中学や高校も同様にあります。

決めたテーマに沿って資料を作成し、クラスの皆の前でプレゼンをする能力を身につけるように教育されます。パワーポイントなどは、子供たちも上手に使いこなします。

よく会社の食事会や誕生日会でも、スピーチをしているスイス人は、内容はともかく喋りがうまいなと思います。

人前で緊張することなく、マイクを握って話せる能力はすでに小学校の頃から培われてきているのだと、改めて思いました。

もちろん、人前でのスピーチが苦手な人もいますが、子供の頃からこうしたプレゼン能力も鍛えられている場合、社会に出てからも差を生むでしょう。

日本人はどちらかというと、人前でのスピーチやプレゼンが好きではないという人が多いかもしれません。

小学校の頃も、グループ発表はあったものの個人での発表はほとんど記憶にありません。

「親との会話の多さ」「プレゼン授業の多さ」この2つの要素が、社会に出てから実は役に立っている能力ではないのかなと思います。

国際社会となった今では、他国とのやりとりも当たり前のように増えていますので、こうしたコミニケーション能力の高さも重要になってきます。

多言語国家

これに加えて、スイスは多言語の国家です。ドイツ語やフランス語はもちろん、英語やイタリア語も問題なくこなせる人材は多くいます。

これも環境的には優位で、得意かどうかは別にして、他言語を習得することに抵抗が少ないように思います。

日本語と違い、母語がドイツやフランス語の場合は、別の言語の学習もしやすく、実際に自国にいながらにしてその成果を試せる環境にあるので、公立の学校に通っていても多少国際的な感覚を持てることもスイスの良いところでしょう。

英語でコミニケーションを取れるスイス人は多く、ネイティブではないので、日本人にも聞き取りやすい英語であるのも特徴です。他言語を必要に応じて使いこなすことのできるスイス人という印象です。

こうしたスイス人の言語的環境は、ドイツやフランス、イタリアなど、周辺国の人たちを見ていても違うのがわかります。

スイスと日本、欧州と日本の親の場合は、すでに家庭内で言語が2つ使われていたりします。父親と母親で別の言語を使い、一緒に話すときは標準ドイツ語や英語を使うなど、多言語の環境をすでに持っていることが多いです。

そうした環境をうまく使い、両方の言語で会話をするというのは、子供にも良いトレーニングになり得ます。

一つの言語に偏りすぎて、現地語が心配になるという親御さんもいますが、子供の順応性は高いので、それほど心配はないようです。

後は現地の人だけでなく、様々な国籍の友人や知人との交流を心がけていくのも良い方法かもしれません。