発達障害と診断される子供の話

昔はあまり聞かなかった多動性障害

お子さんおいる家庭では、一度は耳にしたことがある病名かもしれない、発達障害、多動性障害という病名ですが、ドイツやスイスではかなり昔から親御さんに認知されていたようです。日本では「ちょっと落ち着きのない子」、「そのうち大人しくなる」と言った程度の認識だったように思います。ADHDという名称でも認知されています。

実際に、自分が親の世代になり、あちこちで聞くようになりました。日本においても、同級生の子供達やその周りで多くの子供がそう診断されているということですが、同世代の人たちが口を揃えていうのは、「昔はクラスにそんな子供はいくらでもいた」ということです。

特別クラスに入れるかは親の判断

ある日本の友人の家庭では、小学生のお子さんが多動性障害と診断されて、学校では特別学級に通っているそうです。しかし、通常のクラスにも通えるだけの学力はあるそうです。学校側もその子の状況を把握した上で、どちらのクラスに入れるかは親御さんが決めてくださいと言われたそうです。しかしながら、皆と一緒に何かをするという時にいつも問題が起こるそうで、他の子に迷惑をかけるだろうと親が判断し特別クラスに入れたそうです。

もちろん、子供によって症状も環境も違うので、医師と親と学校の相談になると思いますが、そうした話を聞くことが本当に多くなったと感じます。

子供の頃多動性障害だった人の話

あるドイツ人の方で、自分より少し年上でしたが、子供の頃に多動性障害だったと教えてくれた人がいます。その名残は今でもあるということでした。その人はとにかく落ち着きがない子供だったそうで、忘れ物をよくしてしまい、整理整頓もできない状態だったそうです。幼少期のその人の親がどのような対処をしたかはわかりませんが、大人になった現在でも予定を忘れたり、財布を落としたりということが頻繁に起きるようで、仕事にも弊害が出ていました。注意欠陥もあり、物事を順序立てて考えることが苦手で、お願いしたことをすぐ忘れてしまうなど、単なる物忘れとかではなく、コミニケーションが非常に難しい人でした。

その人自身が教えてくれましたが、当時はあまり対処法などが認知されておらず、改善せずに大人になってしまったということでした。今では、医療も進み周りの理解も進んでいるため、対応を早い段階からとり医師や精神科医に通ったり、セラピーに通うことが多いそうです。そのため、周囲でも発達障害や多動性障害という言葉をよく耳にするようになったと思われます。

理由なく暴力を振るう子供も

そうした子供たちの多くが、幼稚園の先生に多動性である症状を発見されるようですが、中には幼稚園に入る前に、すでにそうした多動性の傾向が顕著に出てしまう子もいるようです。その多くは、他の子供に対する暴力となって現れるようです。別の知人の子供が、初めて従兄弟に会った際、その年上の従兄弟のお兄ちゃんが、突然殴りかかってきたそうで、親が慌てて止めたとか。特に何をしたわけでもなく、衝動的に相手に手を出してしまう子だったそうです。

このように症状は様々ですし、子供の性格も影響するので、大人しい子供の場合はわかりにくい場合があります。言葉を全く話さないという子供もいますし、集団行動が苦手な子もいます。実際に子供が小さい時に、うちに遊びに来た子供たちの行動を見ていても、幼稚園くらいだとその差は大きかったです。他人との関わり方、コミニケーションの取り方に個性がよく出ているなと思った記憶があります。

IQの高い子も

そうしたお子さん達の中には、IQが平均より高い子供も多いようです。周りの空気を読んで、共同作業はうまくできないが、例えば数字にものすごく強い子がいたりして、スイスでは、先生や学校側もそうした子供には特別授業を受けさせたりする取り組みもあります。実際に特別授業を受けていたスイス人の子供を知っていますが、高校生になった現在は、特に数学が強いというわけでもなくごく平均的。その反面、周りとも協調性を持った行動や対応ができるごく普通の生徒になったそうです。

もし自分のお子さんが他の子に比べて発達が遅いとか、あまり言葉を発しないなどの兆候があれば、一度医師に相談してみると良いかもしれません。早めの対応をすることで、中学や高校なるまでに落ち着くケースも多いからです。医者にはよく言われたことですが、小さい子供の場合は、差があるのが当然で、あまり過剰な対応をしなくても良いと思いますが、気になるようでしたら検査もできるので相談してくださいということでした。子供自身のプライドを傷つけずに第3者が介入できるよう、親が上手に対応することも重要です。