スイスの卒業シーズンは警察も忙しい

卒業シーズンは警察も大忙し

夏休み直前、卒業を迎える生徒は新たなステージに進みます。スイスの中学校でも、セレモニーでDiplom(卒業証書)をもらい、各クラスで食事に行ったりします。先生も同席して、ここまではほぼオフィシャルな行事として認識されていますが、その後は、生徒だけのパーティーをすることが多いようです。あるクラスは、どこかの別荘を借りて朝まで騒いだり、BBQの広場で騒いだりと先生も保護者も同席しません。年齢的に中学生の場合は、ディスコやクラブなどには入場できませんから、屋外で騒ぐようです。

地元の警察もこのことを把握していますので、ほぼ毎年の恒例行事として、酒を飲んで暴れる生徒の補導などで忙しいようです。音楽をかけてうるさいのも近所迷惑ですので、当然苦情も入ります。スイスでは、ビールなどの軽いアルコール度数のお酒は16歳から飲めます。中学生といっても、留年したり海外から移住した生徒たちの中には16歳以上の子もいるため、ビールくらいは飲める年齢になっていることもあります。しかし、最後のどんちゃん騒ぎでは、ビールでは満足せず、ウォッカなどの強いお酒を持ちこんでしまうようです。

急性アルコール中毒で搬送

いくら大人びているスイスの子供でも、強い酒には耐性ができていないので、酔っ払ったり気分が悪くなったりする子が出ます。その程度で済めば良いのですが、やはりハメを外し過ぎて、急性アルコール中毒で搬送される子もいるようです。残念ながら搬送された生徒が今年も出てしまいました。ウォッカを一気飲みしたそうで、血中アルコール濃度は1.6mgでした。冗談抜きで危ない数値でしょう。日本でも大学の新入生歓迎コンパで毎年亡くなる生徒がいる様に、甘く見てはいけません。

警察は保護者に罰金を科すこともあるそうですが、それ以外は酔っぱらった生徒をパトカーで家まで送り届けることも多いそうで、そうした中学生の集まりを認識しながら取り締まりが緩いようです。

大麻などのドラッグも一部では蔓延

大麻には寛容なスイスですが、中学生でもタバコや大麻を吸ったことのある生徒は多いようです。こうしたドラッグも当然持ち込む生徒がいますし、別荘などを借りて行うパーティーでは、警察も入れないので、他のドラッグを使用しているという話もちらほら聞きます。スイス人の親はそうした環境が子供の近くにあることを心配しつつも、自分の子は正しい判断をしてくれると信じているようです。普段から親が子供にそうした話題をどう伝えているかによって、手を出すか出さないか分かれるようです。

とにかく、お酒もドラッグも無礼講とかそういったことではなくて、未成年の場合は、明確に違法なのできちんと取り締まってほしいと思います。最悪の場合は、命を落とす結果にもなり兼ねません。新たな進路を台無しにしないためにも、周りの大人が一度は話しておくべきことかもしれません。これから、高校や大学に進めば、親が口を挟むような年齢でもなくなりますので、子供との会話も大切になるかなと思います。