ストレスで顎関節症に

海外生活はいるだけでストレス値高め

もう何十年も昔の話ですが、スイス生活1年目の頃、顎関節症になりました。医者に行き診断されたのが、ストレス性の顎関節症。外国人は、慣れない海外生活で知らず知らずにうちにストレスを感じ、顎関節症に限らず、体に異変が起きることがありますと言われました。そうした患者を毎年診ていますと言っていました。

学生時分に海外生活は経験済みなので、適応能力にも自信があり、当面は英語で過ごし、ドイツ語も覚えれば何とかなるだろうという気持ちでいましたが、どこかで強いストレスがかかっていたということです。確かに、当時はまだ慣れないドイツ語を学び、一歩外に出れば、習ったはずのドイツ語は聞こえてこず、スイスドイツ語は理解不能の別言語。幼稚園くらいのこどもが話している事すらわからない状態です。ひとりでできることが限られています。

当時は、あるクリニックで顎の骨を削る手術を勧められましたが、手術自体が大きなストレスに感じ、何だかおおごとになってきている状態にも不安になり、別の医師へ相談した結果、理学療法セラピーを受ける事に。骨折した人がリハビリに行くようなところですが、顎の運動、マッサージなどを毎週受け、自宅でも毎朝の顎の運動などを続け、3ヶ月後には改善しました。

発症した当時は、口が数センチしか開かず、食べれるものはポテトくらい。パンすらかぶりつけないような酷い状況でした。食べることもままならず体重は減りました。咀嚼するたびに痛いし、顎がちゃんと噛み合っていないので、本当に疲れました。更には、処方された痛み止めの薬が強すぎて、口の中全体に経験したことのない数の口内炎ができ苦しかったです。

この顎関節症が起きたのは、就寝中の歯軋りからくる顎のずれ。歯軋りもストレスの兆候です。確かに、昔からストレスがたまると歯軋りがひどくなっているのは認識していました。

偏頭痛もひどくなり

日本いる時から、偏頭痛持ちではありましたが、海外移住と同時にやはりひどくなりました。特に緯度の高いドイツの北西部に住んでいた時は、気圧の変化や秋冬に吹き荒れる風が頭を直撃し、偏頭痛を引き起こしていました。現在はそこまでひどくはないものの、秋冬はやはり毎週一回は偏頭痛になっています。

気候の違いは、やはり体に影響を及ぼしますので、例えば日本に一時帰国した際も日本の気候に慣れるのに少し時間を要します。自分の国とは言え、都会の人の歩くスピードや騒音、匂いや湿気など、懐かしくもありますが、しばらく経験していないものです。数日あれば、大体調子も出てきますが、最初はやはり体が変化を感じています。

海外生活は憧れの生活ではない

スイスに住んでいるというと、ほとんどの日本人がなぜか羨ましがりますが、ハワイに観光に行くのと生活するのとでは、全く違います。憧れのハワイだって、現地で生活すれば間違いなく大変なことが多いでしょう。スイスもハイジの世界に住んでいるわけではなく、都市部は普通の街です。

日本に暮らしていれば、それはそれでたくさんのストレスがありますが、海外の場合は、例えば硬水のお水が体に合わないとか、寒すぎるとか、冬はすぐに暗くなり気分が落ち込むなど、いろんなことがあります。1番のストレスは、現地の言葉であり、外国人として暮らしていくことの大変さでしょう。

こちらの暮らしが合わずに、日本に帰国した人もたくさん知っていますが、困難を何とか乗り越えていく人、出来ることと、出来ないことの折り合いをつけて生活できる人、異文化、異人種を受け入れることができ、自分が外国人だと認識して生活できる人は、海外でもやっていけるだろうと思います。海外でないと達成できないような目標がある人も気持ちの強い人が多いと感じます。

海外赴任など、期間限定で海外暮らしをする人は、その間に経験できることを思いきり楽しんで欲しいと思いますし、結婚などで移住を決意する人は、ある程度の覚悟を持って海外移住をしてほしいと思います。自分の想像と違ったなんてことは毎日起きますので、それを許容できる人が海外生活も楽しんでいけるのかなと思います。

今回は海外(欧州)でのストレスの話でしたが、こちらでしか経験出来ないこともたくさんありますので、次回紹介します。