コロナで分断された人間関係

コロナパンデミックが始まって

ここしばらく、欧州でのコロナの感染者が増えて、スイスはもちろん、ドイツやフランス、オーストリアではワクチン接種をしていない人は外出禁止/ロックダウンという厳しい措置を取り出しました。

昨年の今頃は、コロナワクチンの受け付けがリスクの高い高齢者から始まると話していた時期で、感染者数の伸びも今と同じくらいでしょうか。この時期はまだワクチン接種を躊躇する人が多かった印象ですが、2月頃までに高齢者のワクチン接種が進んでからは、あっという間にその次の世代から若年僧までコロナワクチンの接種が広がりました。
そして、スイス政府の感染防止対策もどんどん進み、夏にはワクチンパスの導入で欧州内での休暇に出かける人が増えました。

その一方で、ワクチンを接種しない人は行動を制限され、何処かに行くたびにPCR検査の義務が発生し、ついにはその検査も有料になります。ワクチン差別だと言われ始めたのもこの頃でしょうか?
病気の治療や服用している薬のために、ワクチンを打てない人もいるのに不公平だという声が上がりました。

SNS上で対立が目に見えるようになった

本来なら、議論好きなスイス人は、直接会話をして意見を言い合うのでしょうが、コロナで人に会えない分、SNSで発信する人も増えました。自分と同じ考えの人の投稿をシェアしたり、時には攻撃的に書き込み、批判を招いてしまった例もあります。

残念ながら、実際に自分の周りでも起きています。普段は非常に温厚で、あまり自分の意見を言わないスイス人女性が、コロナ後遺症の人の怒りを買うような投稿をしました。すると、案の定、彼女の友人の中にもコロナ後遺症で苦しんでいる人がいて反論の書き込みがありました。すぐにその投稿は削除されましたが、いわゆる炎上してしまった例です。
普段の人となりからは想像もできない書き込みだったので驚きましたが、その後も同様の投稿が続いたため、距離を置くようになった友人たちが出てきました。感情的に書き込んでしまう例でしたが、コロナパンデミックがなかったら、その友人関係は問題なく続いていたでしょう。

様々な研究データを元に解説する人も

テレビでも、様々な専門家がコロナウィルスについて、またはワクチンについて説明をしていましたが、ネットでも同様に「専門家」が多くの研究データを引用して解説しています。
しかし、知らない人はどれが本当なのか、信じていいものなのか、不安を煽るような内容も多く、いわゆるフェイクニュースや陰謀論についての動画も増えています。こちらは感情的ではなく、理論的な書き込みと言ったほうが良いでしょうか。

そうすると、前述したように人間関係の分断につながります。ワクチン接種の是非はもちろん、何を信じるかは個人の自由ですが、それを他人に押し付けたり、なんとか説得しようとする人の行動が分断を招いている気がします。
ネットで情報収集も随分便利になりましたが、逆に情報の選択が難しくなりつつあるので、情報弱者には注意が必要です。

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