東京五輪、1年遅れの開催
開会式が行われたスタジアムの上には、約1800機のドローンがまるで花火のように打ち上げられて、最後には綺麗な球体になり、地球を映し出しました。
観客のいないスタジアムで、見ている側も盛り上がりに欠けるのは仕方ないかなともいますが、とにかくスタートした東京五輪。
この五輪という舞台に集中してトレーニングしてきた選手たちは、日本の厳しいコロナ感染対策に従い、淡々と自身の競技に集中する姿が見られました。
スイスのTVでも、五輪アスリートを密着取材した番組が放送されたり、日本の文化が紹介されたりと、注目が集まっています。
オリンピック開催の中止を求めるデモ
毎回そうですが、どうしても政治色が強くなってしまうオリンピック。権利とお金の関係から、中止を求める声はいつもあります。しかし、今回は昨年コロナウィルスの蔓延で中止になり、現在はデルタ株の蔓延を恐れて中止にするかしないか、という議論も起こりました。反対するにはコロナウィルスの蔓延は十分な理由であったかもしれません。
しかし、出場する選手にとっては、一度あるかどうかという五輪出場。もちろん種目にもよりますが、何度も出場している選手もいれば、体力的に一度だけの出場を目指す人もいます。選手としての最高の状態が今であるならば、やはりその時に出場してメダルを獲得したいと思うのは当然です。もしかすると、昨年延期となってしまい、自身のピークを過ぎてしまった選手もいることでしょう。そんなことを考えると、オリンピックが中止になれば良いとは簡単には言えないのかなと思います。
コロナPCR検査で陽性
しかし、コロナウィルスは選手にも無関係ではなく、日本に到着してからも検査があります。既に陽性反応の出た選手もいますが、その場合は出場できないということにもなり、本当に無念な結果となり得ます。
何十年も前の五輪ですが、ある日本の体操の選手が、38度の熱を出しているにもかかわらず、金メダルを取ったのが今でも印象に残っています。今回の五輪は熱があると、まずは検査になり、無視して出場できないわけで、その違いも大きいでしょう。
ドーピング
五輪開始の直前にスイスの陸上選手が、ドーピング検査で要請となり、9ヶ月の出場停止処分を受けました。この選手はインタビューで涙ながらに謝罪をしていましたが、自身のキャリアだけでなく、長年帯同してくれたチームスタッフにも申し訳ないという気持ちでいっぱいでしょう。ちなみに、トレーニング中には許可されていた、錠剤型のエナジーサプリメントを試合の際にも摂取してドーピングとなったようですが、ちょっとした不注意も選手としてのピークを逃してしまいます。実際に、この選手は東京五輪には出場できず、次回の五輪はもう選手としてのピークは過ぎて出れない可能性が高いようです。
ある意味歴史に残るオリンピック
コロナウィルスのおかげで、なんとも不完全な形でのオリンピック開催ですが、何年も前から準備をしてきてこうした状態になるとは夢にも思わなかったでしょう。選手村のアパートも五輪の後は販売がされますが、東京都もかなりの投資をしたのにチケットすら販売ができないという、非情なオリンピックです。その意味では、コロナ禍に開催されたオリンピックとして歴史に残るオリンピックかもしれません。1年延期した五輪も過去にはなかったと思いますし、これほどまでに混乱した五輪もないでしょう。
とにかく、始まったからには選手たちの活躍を見守ることしか我々にはできません。新しく五輪種目となった競技もあるので、長引くコロナ生活の中、束の間の楽しみとしてTVで観るのも良いかも知れません。特に子供達には、五輪を観てスポーツを本格的に始める子供、良い影響を受ける子供もいますので、その夢だけは残された五輪であるべきでしょう。