スイスの高校生の危ないマフィン

スイスでは18歳から大人

 大人は自分の行動に責任を持つことで、成人の人間がした事は、親には責任が無い。そういう考え方をする人も実は多いのですが、そうではなく、やはり親の責任もあるという人もいます。
ただ、日本に比べるとスイスの高校生は話すことも、行動もすごく大人に見えます。もちろん子供っぽいところも見え隠れするのですが、日本の高校生のような子供っぽさはあまりありません。
それは、育つ環境とスイスの教育にあると思うのですが、間違った方向に行く場合も多々あります。

自宅でパーティーをする若者

高校生に限りませんが、若者が親が休暇に行って留守の間に、自宅に友人たちを呼んでパーティーをすることがあります。そこでは、タバコや酒はもちろんのこと、時には薬物を持ち込んで羽目を外す若者たちがいます。家の中はぐちゃぐちゃで、物が壊れていたりするのは、TVドラマの中だけではないようです。

ある知人の話で、18歳になったばかりの子が、友人宅にパーティーに呼ばれたので、マフィンを作って持って行ったそうです。しかし、そのマフィンを食べた友人たちの1人が、突然体調を崩し、病院に運ばれるということが起きました。実は、そのマフィンには刻まれた大麻草が入っていて、友人の1人は知らずにそれを食べて中毒を起こしてしまったそうです。
信じられないことに、マフィンに大麻を入れたことは誰にも言ってなかったそうです。友人たちの間では、ごく当たり前のようにクッキーやケーキに大麻草を入れて作ることが流行っていたそうで、わざと伝えなかったわけではないということだそうです。だから良いというわけでは当然ありません。

責任は誰にあるのか?

しかし、もっと驚いたのは、その中毒を起こした子の両親は、スイス国内で休暇中で、急いで連絡をとったところ、「病院に行ったのなら大丈夫ですね」と言ってそのまま休暇を楽しんだというから、知人も呆れてしまったということです。18歳なら自分で責任を取れという考え方でしょうか。自分の子供が大麻中毒で入院しているのに関係ないと行った態度。普通なら、大麻入りマフィンを作った友人の親にすぐ電話をして厳しく注意するか、謝罪をもとめても良さそうですが、下手をすれば死んでいる可能性もあるのに、信じられない対応だったということでした。

結局、別の友人の親がマフィンを作ったこの親に電話をして、後日、本人から謝罪があったようですが、色々と驚く内容の話でした。日本なら逮捕者が出る騒ぎでしょう。学校も退学処分でしょうか。

なぜか大麻に寛容なスイス

スーパーには、大麻入りのタバコやクッキー、アイスティーなどが普通に販売されています。それらの商品は、大麻の成分を低く抑えて中毒にならないように作られていますが、それだけでも驚くスイスの食品類。当然、大麻の禁止されている日本などの他国にお土産で持って行くことはできません。
なお、スイスの道端で大麻を吸っていても、警察はお咎めなしです。しかし、転売目的の所持や栽培は厳しく罰せられます。

医療用の大麻もかなり厳しい基準で栽培業者から製造、販売まで免許が要ります。それらは、薬局でも手に入るので、ごく普通に購入できます。最近では、動物用の大麻由来の薬も売っていて、落ち着きのない犬や吠え癖のひどい犬、認知症で異常行動をする犬などにも使用されるそうです。
線引きははっきりしているものの、路上での大麻入手は簡単ですので、高校生や時には中学生も手を出して吸っています。
しかし、体に合わない場合、急性中毒症状が出て大変なことにもなりかねないですので、遊びで試すには危険すぎます。

大麻の利用方法が多様なスイスですが、それも含めて自己責任ということでしょうか。日本の有名人のように大麻を吸って捕まり、親が出てきて謝罪なんてことはスイスではあり得ません。