再びテロの脅威にさらされる欧州

フランスでの風刺画騒動から

 フランスで先日学校の教師が殺害される事件が起きました。この教師は、イスラムのムハンマドの風刺画を使った授業を行い、気分を害する人は退室しても良いとして、生徒の前で授業を行いました。これを聞きつけた保護者が問題視し、この教師の名前と写真をSNSに投稿。その直後、18歳の青年によって、路上で殺害されました。
 イスラムの尊厳を傷つけたということで、イスラム過激派組織やテロリストの予備軍を刺激したことは間違いないでしょう。しかし、だからと言ってあまりにも残忍な方法で殺害をされるべきなのでしょうか?この問題は長年に渡り、根が深すぎて、解決には程遠い問題だと思っていますが、そのフランスの対応もテロには屈しないという強気の姿勢。
 トルコのエルドアン大統領は、「フランスの首相は、精神の治療が必要」などとかなり挑発的な発言をしており、欧州に散らばっているイスラム教徒と欧州の白人との軋轢を生みました。その結果、フランスの他の都市ニースでもテロ事件が起こり、各地で同様の事件が起きています。教会の中にいた人が殺害されたり、宗教施設が襲われたりしています。

これまでテロ事件がなかったオーストリアで

 そんな中、オーストリアのウィーンで、昨晩無差別テロが起き、現在のところ4名の死亡、数十名の怪我人が確認されています。犯人の一人は射殺されています。これまで、オーストリアでは大きなテロ事件などは長い間起きておらず、テロ等の準備計画で国内に住んでいた者が確認されたことはあるそうですが、全く予想外でした。フランスだけの問題ではなく、欧州全体の問題として、スイスも例外ではないことを肝に銘じないといけないということです。

クリスマスマーケット

 記憶が新しいところでは、やはりクリスマス時期のマーケットが標的にされて、ドイツでも車で突っ込むなどのテロがここ数年発生しています。マーケット周辺には、車両が侵入できないようにバリケードが設けられ、警備も強化されていました。今年は、おそらくコロナウィルスのため、マーケットも開催しないところがほとんどではないかなと思いますが、テロの脅威がなくなったわけではなく、むしろの不安定な状況の中、どこでも起こりうることです。テロを起こす人間にとって、コロナウィルスなど問題ではありません。そう考えると、恐ろしいですが、やはりこの時期になるとクリスマスマーケットでのテロ事件が頭をよぎってしまいます。

 この冬は気をつけるべきことが多い上に、コロナの影響で活動は制限され、誰もがフラストレーションを溜めてしまいがちです。そして、直接的には関係ないですが、アメリカの選挙も今日が決戦の日。投開票して確実な数字が出るまでは少し時間が要するでしょうが、結果如何では、暴動なども起きそうな気配ですので、TVの画面を通してそうした光景を目にしなければいけないかもしれません。