スイス人との会話、距離感

スイス人との会話

 日頃、普段の生活の中では、日本人よりもスイス人と接することが多いのだが、ここ最近はやっぱりコロナウィルスの話題になってしまう。それでも、スイス人のいろんな意見を聞くことができて興味深い。スイス人は、初めて会う人には、なかなかすぐには心を開かないといわれるが、人にもよるし、日本人でも似たような感じなのかなと思う。その分、微妙な距離感をお互いに保てると思っている。しかし、一旦スイス人の警戒心がとけると、結構いろんな話題を振ってくるし、自分がスイスジャーマンを所々聞き逃していても、お構い無しに話してくる。それはそれで、外国人の自分にとっては少しオープンに接してくれて、嬉しいことだと思う。

 前述したように、最近はコロナウィルスの話題が多く、それによって変わってしまった仕事環境や生活環境、家族間の問題など、結構明け透けなく話してくる人も多い。これまで会っても、天気の話くらいだったのに、色々とコロナウィルスで厳しい状況に置かれた仕事の話をして来た人もいて、同様に自分の状況や日本の様子なども聞いてきてくれた。

 話す人の年代にもよるが、少し年配だと病気の話や親の介護の話なども多い。あとは離婚したとか、別居したとか、借金があると打ち明けて来た人もいる。そこまで自分に話しても良いのかなという内容のこともあるが、きっと誰かに話すことでスッキリするのではないかと思う。

話しかけやすいタイプ?

 もしかすると、自分は話しかけやすいタイプなのかもしれない。自分でいうのもなんだが、はっきり言ってそういう風貌でもないと思うのだが、よくスイス人に道を聞かれるし、お店でも話しかけられることが多い気がする。
 一方で、こちらから挨拶をしても無視する人もいる。住んでいるのが郊外ということもあり、見知らぬ人でもすれ違いざまに「こんにちは」というのが普通になっている。自分としてもできる限り挨拶をしているが、目を見て挨拶しても無視されることもある。まあ、あまり気にすることではないが、それでもなんで挨拶しなかったのだろう?とその瞬間は思ってしまう。しかし、元々警戒心の強いスイス人の性格からすると、それが普通なのかもしれない。

そもそも話好きなスイス人

 警戒心が強くて、とっつきにくい印象のスイス人だが、本来は話し出したら止まらない人が多い。遊びに来ていた友人がそろそろ家に帰るため、靴を履いて、上着を羽織って、玄関で立ち話を始めたら、2時間経過していたという逸話もあるくらい話が終わらない。特に女性の場合は。
 女性は国籍に関係なく、人付き合いが上手。スイス人男性はあまり自分から連絡を取らない人が多いそうだ。自分の妻はスイス人なので、とにかく人付き合いが多い。近所の人から職場の人、昔の学生時代の友人まで、頻繁に連絡をとっている。特に地元ということもあり、昔からの知人友人が多いので、なおさらだ。

 最近になって気がついたことは、そうした状況は、自分にとっても実はありがたいことで、海外に住む日本人としては孤立することなく過ごせている。そもそも日本人男性が少ないので、そうした繋がりを持つことが難しいというのもあるが、逆にスイス人男性と結婚した日本人女性は多いので、日本人女性同士の付き合いには困らない。そうすると、スイス人の友人は必然的に少なくなる。これは日本人に限らず、同じく国出身の者同士で人間関係を築く傾向にあるので仕方ないのだが、スイス人からすると社会に溶け込めていないと思われてしまうようだ。

スイス人との距離感

 年齢や国籍、育った環境が違っても、何か一つでも共通項があれば、それをキッカケに人間関係を築ける。特に長く海外に住む覚悟の人には、大事なことだなと最近になってより強く感じる。新型コロナウィルスにより人々の活動は制限されているが、今や世界の共通問題として毎日報道されるコロナウィルスの感染拡大。ニュースを聞くのもうんざりだが、それがきかっけで、今まで挨拶程度だった人の人生を垣間見ることが増え、距離感が縮まったような気がする。