道の譲り合い、交通ルール

横着なドライバー

 幸い、日本でもスイスでも車での事故は1度もありません。バンパーを擦ってしまったとか、その程度です。ひやっとする瞬間は、結構あるのですが、他の車と接触する事なく長年運転をしています。ただし、事故がない反面、最近はトラブルになりそうなことも多く、窓を開けて言い合いになったこともあります。
 最初に言っておきますが、ほとんどの若いスイス人ドライバーは、マナーもあり安全運転です。しかし、前述のトラブルになりそうだった件は、全て高齢者。
先日も車が1台しか通れない車道があるのですが、対向車とすれ違うことができないため、どちらかが待たねばいけません。この場合は、どちらが先にこの車道に入ったかによるのですが、自分がほぼ最後まで通り過ぎた頃に、前方から無理矢理入ってきた高齢女性の車。明らかに自分が優先にもかかわらず、睨みつけ、どけという合図。仕方ないので、ギリギリ幅を寄せて、その車を通したのですが、あの態度には呆れました。そういうドライバーに限って、無理矢理直進し、車をぶつけられる可能性が高いので、こちらは譲ります。

 そして、また同じ道で、同じく自分がほぼ細い車道の最後までくると、前方から車が進入。路上駐車も多く、すぐにバックしてくれたので、手をあげてありがとう!と合図をしたにもかかわらず、すれ違いざまにフランス語で大声で「メルシー!」とこちらを睨みつけ、礼くらい言えと言わんばかりの態度。もしかすると、自分がしたお礼の合図を見てなかった可能性もありますが、それにしても失礼な人です、同じく高齢ドライバーです。

 ふと思うのは、もし、私のスイス人が運転していたらどうなるか?ということです。スイス人ならそういう態度にはならないのかもと思ってしまうこともあります。明らかにこちらがアジア人で見下すように睨む人もいますし、実際にアジア人蔑視のジェスチャーをされたこともあります。ただマナーの悪いドライバーは、こちらが外国人だろうが、スイス人だろうが関係ないでしょう。

人種差別の問題が過熱している時期でもある

 そうした話をすると、考えすぎだと言われます。確かにそうかもしれませんが、今は人種差別に敏感な時期でもあります。交通ルールのトラブルが、人種差別と繋がっているわけではないのですが、何十年も海外生活をしていれば、小さな差別は日常で起こりますし、差別される側の人間としては正直わかります。まあ自分の勘違いであればいいのですが。
 では、日本に住んでいた頃、自分は外国人に対して差別的な態度をしなかったか?日本に住む日本人は、差別の対象では当然ないので、このアメリカで暴動になっている人種問題がピンとこない人も多いでしょう。しかし、日本でも他の国のアジア人を差別していませんか?日本はアメリカや欧州ほど、多くの人種が混在しているわけではないので、外国人はより目立つ存在です。こうしたことも、海外に住んでみると嫌でも経験しますので、人種差別の問題を別の角度で見ることもできます。海外に旅行しただけでも、そうした経験をした人も多いと思いますが、実際に住んでみて日常に起こる差別に遭遇すると、物の見方や考え方も変わります。

新型コロナの影響で募るイライラ

 新型コロナウィルスの規制が解除され、夏休みに入ってだいぶ気が緩んでいます。色々と制限された生活も疲れます。イライラする人も多いですし、そんなストレスもまた差別に向かいがちなのかもしれません。大幅な規制解除後、国境が開き、感染者数は増えました。報道にもあった東欧州からの入国者が、コロナウィルスをスイスに持ち帰ってきたというニュースは、特定の国名が出ていたので、これも差別の対象となりかねません。もちろん、感染経路を把握するために公表は大事ですが、人の移動が多い欧州では、こうなることはわかっていました。
 交通トラブルとコロナウィルスの感染拡大。一見人種差別と関係なく思えますが、やはり繋がっていると思います。死亡者の多く出たイタリアでは、中国人が差別の対象になっているという話を聞きます。
 自粛生活が長くなり、いろいろなことを考えてしまうこの頃です。